変なもの食うな、でワン。
と言いましても手遅れかも知れません。変なモノでも食べたせいか、頭痛くてぐりぐりしている間に淡々と6日になっておりました。
さて、「変なものを食べてはいけません」の
第二事例
です。
某という武官が広州の山間部の村の巡察に出かけた。
最終日、帰途の山道で
見木下有大木耳一朶。甚嫩好。
木下に大木耳一朶あるを見る。甚だ嫩(やわら)かく好し。
木の根元に、巨大なキノコが一枚あるのを見つけた。たいへん柔らかそうで、うまそうである。
お供の書記に
「どうだ、あのキノコは? いかにも体に良さそうじゃな」
と告げると書記も「うんうん」と頷き、
「これこそ仙界のキノコで、時折その胞子が地上に落ちて芽を出すという「天花菜」というものではございますまいか」
と云うた。
そこで武官はこれを取って帰り、
煮食之、尽一盤。
これを煮て食らい、一盤を尽くす。
これを煮て、ひとさらまるまる食い尽くしてしまった。
食べ終わると、
「なんだかおなかがごろごろいうなあ・・・。書記が訪ねてきても、もう食い尽くした、おまえの分は無いぞ、と言うておけ」
と言い置いて寝室に入ってしまった。
次の日、巳の刻(午前10時ごろ)になってもおきてこないので、下僕たちが寝室の扉をこじあけて入ってみたところ・・・
止見骨頭一副。其肉尽化為水、流満牀下。
ただ骨頭一副を見るのみ。その肉ことごとく化して水と為り、流れて牀下に満つ。
ベッドには、ただ、頭蓋骨以下の骨ひとそろいがあるだけであった。肉はすべて液化してしまい、どろどろと流れてベッドの下に流れ落ちていたのである。
「ほう」
下僕たちの中にこの地出身の老練な者があり、どろどろになった肉と黒ずんだ骨を見て、
「これは危うい、ほかにも同じキノコを食べてしまうものが出るかもしれぬな」
と言うて他の下僕らを語らい、武官とともにキノコを発見した書記を案内に立てて山中に入った。
掘原山木下、得大蛇如桶大。
原(もと)の山の木下を掘り、大蛇の桶の如く大なるを得たり。
キノコを発見した山中の木を特定して、その根の周りを掘ってみたところ、とぐろを巻いた桶のように大きなヘビを発見したのであった。
「やはりこやつであったか」
老僕の指示で、みな直接手を触れぬように石などを投げつけてこの大ヘビを殺し、
焼之。
これを焼けり。
その骸を燃やしてしまった。
ということである。
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「さて、またこんな話もございますなあ・・・」
と李三洲が第三事例を話し始めたのですが、それはまた次回とさせていただきます。今日は晩御飯にキノコ天ソバ食った。ちょっとおなかもごろごろいうので早く寝るか。
李厚徳「戒庵老人漫話」巻八より。ちなみにさすがに宮崎の口蹄疫でやられるニンゲンはおられますまいが、関東各地にノロウイルスが広がっているらしいので、気をつけねばなりませんぞ。朝起きたら液体となっているかも。