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かつて書を読んでいたところ、
牛有耳而聴以鼻。
牛に耳あり、而して聴くには鼻を以てす。
ウシには耳があるが、鼻で音を聴いているのだ。
と書いてあった。
「ふむ、やはりな」
と、わしは頷いた。
また、
龍無耳以角為聰。
龍に耳無きも角を以て聰を為す。
リュウには耳が無いのだが、角で音を聴いているのだ。
とも書いてあった。
何も知らないひとは「本当にそうだろうか」と疑うであろうが、
蓋牛耳無竅而龍既無耳、此必然也。
けだし、牛の耳には竅(きょう)無く、龍には既に耳無ければ、これ必然なり。
なにしろ、ウシの耳には耳の穴が無いのである。そして、龍には全く耳が無いのである。だから、鼻で聴き、角で聴くことになって当然であろう。
ところで、この間、元代のことを中心に見聞・考証を記した葉子奇の「草木子」を読んでいたら、
亀雖有鼻而息以耳。
亀は鼻ありといえども、息するに耳を以てす。
カメには鼻があるが、呼吸は耳で行っている。
と書いてあった。
「なるほど、そうだったのか」
わしはぽんと膝を打った。これはいにしえの人のいまだ気づかなかったことである。よく気づいたものだ。
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以上はわたしが言っているのではなくて明の朗瑛が「七修類稿」巻四十三に書いていることである。
「ホントかね?」
と思うなら明の時代に行って朗瑛さんに聞いてみてください。浙江・仁和府のどこかにいるはずです。
ところで、ハト耳というのは聴覚器官なのでしょうか?