ハチミツは甘く、胆は苦いもの、と昔から決まっております。
・・・が、突然、皇帝から
「おまえは苦いハチミツ、甘い胆があることを知っておるか」
と問われたら、みなさんはどう答えますか。
「そ、そんなことあるはずありません」
と答えると、
「わしの言うことが間違っていると申すか!」
と叱られまして、クビが「ぽうん」と飛んでしまうかも知れません。
あわわ。どうすればいいのでしょうか・・・。
そんなとき、明の太祖に仕えていたある学者は、落ち着いてこう答えたという。
「知っております」
と。
「ほう、知っておるのか。では、それはどのようなものか」
答えて曰く、
「さよう、
蜂醸黄連花、則蜜苦。
蜂の黄連花を醸せば、すなわち蜜苦し。
ハチが黄色い密集花序を持つ花のミツを集めて来ますと、そのミツはにがいものでございます。
また、
猿猴食果多、則胆甜。
猿猴の果を食らうこと多ければ、すなわち胆甜(あま)し。
サルが木々の果実を多く食べていますと、そのサルの胆臓は甘くなるものでございます。」
皇帝、
「わしは若いころにハチミツだと言われて嘗めたら苦く、動物の胆だと言われて口にしたら甘くて、驚いたことがある。ずっとこれらが何物であったか知りたかったのだが、今ようやく知ることができた」
と頷いて、厚く褒美をとらせた上、医官に採用したという。
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と、明・朱国がその見聞と考証を記した「涌幢小品」に書いてあった。
ほんとかどうかは知りません。誰か実験してみてください。おいらの胆はだいぶ甘いかも。