たいへん不調です。ああもうイヤだ、イヤだ。今日は早いとこ眠ってしまいたい。・・・よし、こんなので誤魔化しておけ。
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むかしむかし、鄭のひと、履(くつ)を買おうと思い、まず定規(「度」)で自らの足の大きさを測って、定規に記しをつけておいた。
ところが、市場に出かけたとき、この定規を部屋に忘れてきてしまったのである。
履を売る商人の店先まで来て、このひと、はたと困ってしまった。
吾忘持度。
吾、度を持するを忘る。
「おいおい、わしは定規を持ってくるのを忘れておったわい」
そこで、大急ぎで家に帰り、定規を持ってまた市場に急いだ。
しかし、
及反市罷、遂不得履。
反(かえ)るに及びて市罷(や)み、ついに履を得ず。
戻ってきたときには、もう市場は閉ざされていて、とうとう、くつを買うことができなかった。
あるひとがなじって言うた、
何不試之以足。
何ぞ足を以てこれを試みざる。
「どうして店先で自分の足でくつを履いてみて、合うかどうか確かめなかったのか」
そのひと、反論して曰く、
寧信度無自信也。
むしろ度を信ずるも、自ら信ずる無きなり。
「何を言うのだ。定規は誰にでも信用してもらえるものだが、おまえさんは自分の足が他人に信用してもらえると思うのか」
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「韓非子」外儲説左上・伝三より。人間は自分の価値観に拘泥するものだ、ということを証明しようとするお話らしいです。ありがたく拝聴してください。ほんとは「国際的な水準ではこうだ」とか「北欧ではどうたらこうたら」と言い出す輩に拝聴していただきたいが、そのひとたちは本当に「度」の方を信じるべきだと言い出すだろうから、拝聴しないでも結構です。