平成22年3月4日(木)  目次へ  前回に戻る

ああイヤだイヤだ悪夢でも見そうだ・・・というような、痛そうなお話をしますよ。

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杭州の赤山の麓に黄大痴という大道士が、多数の弟子を引き連れて住んでいた。

その弟子たちの中に沈某というまだ若い道士がいたが、この沈が道姑(女道士)の一人に言い寄ったと噂になり、よせばよいのに兄弟子の誰かが、師匠に報告しなければならないのではないかと騒ぎ立てたはじめたのであった。

沈はこのことにいたく憤慨し、

引厨刀自割其勢。

厨刀を引いて自からその勢を割す。

台所の庖丁を持ち出して、自から自分の○んぽこを切り落としてしまった。

うひゃあ。

回りの者が取り押さえ応急手当をしたので、とりあえず一命は取り留めたが、

瘡口流血、経月余不合。

瘡口より流血して、月余を経れども合わず。

切り口からにじみ出る血が止まらず、一月余り経っても傷がふさがらなかった。

沈は起き上がることもできず、徐々に衰弱してきたのである。

そんなとき、道観に寄った客人の一行の中に閹奴(エンド。去勢された奴隷)がいた。沈の友人が彼に沈のことを話すと、この閹奴は心配そうに、

「その沈さんの、切り取った○んぽこは残してありますか」

と訊ねた。

「枕元に置いてあります」

と答えると、閹奴はにっこりと微笑み、

「それなら大丈夫です。

以V所割勢、搗粉酒服。

以て割するところの勢をVし、粉に搗きて酒にて服せよ。

切り取った○んぽこを火であぶり乾かし、搗いて粉にして、お酒で飲み下しなさい。」

と教えたのであった。

如其言、不数日而癒。

その言の如くするに、数日ならずして癒ゆ。

言われたとおりにしたところ、数日のうちに傷口がふさがった。

やがて元気になった沈某は、温和で評判な道士となり、多くの民衆を導いたのであった。

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元・陶宗儀「南村輟耕録」巻九より。

涙なくして読めないお話ですが、わたしはこんな話しが好きなわけではないのです。みなさんに何かあったとき、参考になるのではないかと思って訳してみたのです。くれぐれも実験とかしませんように。

 

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