明日からまた月曜日なので、心覚えに。
@不得已而諛之者、寧以口毋以筆。不可耐而罵之者、亦寧以口毋以筆。
已むを得ずしてこれに諛(へつら)う者は、むしろ口を以てするも筆を以てするなかれ。耐うべからずしてこれを罵る者もまた、むしろ口を以てするも筆を以てするなかれ。
しかたなく、誰かにへつらわねばならないときは、口頭でへつらうべきである。文章でへつらってはいかん。(汚名が後に残るであろう)
がまんできなくなって誰かを罵倒してしまうときも、口頭で罵倒すべきである。文章で罵倒してはいかん。(後悔が永久に残るであろう)
と張心斎の「幽夢影」(巻下)に書いてあった。勉強になりますなあ。
また、
A胸中小不平、可以酒消之。世間大不平、非剣不能消也。
胸中の小不平は酒を以てこれを消すべし。世間の大不平は剣にあらざれば消すあたわざるなり。
個人の胸中の小さな不平は酒を飲んで消してしまうがいい。しかし、世間に澎湃と起こる大きな不平は、剣によってしか消すことができぬと知れ。
これは有名な言葉ですが、剣を以てするのはコワいので今は票を以てする仕組みである。
あるいは、
B酒可好不可罵座、色可好不可傷生、財可好不可昧心、気可好不可越理。
酒は好むべきも罵座すべからず、色は好むべきも生を傷(いた)むべからず、財は好むべきも心を昧すべからず、気は好むべきも理を越ゆべからず。
飲酒は好んでもよろしいが、酒の場でひとを罵るような酔い方をしてはならぬ。
色事は好んでもよろしいが、健康を損ねるほどに好むのはどうかと思うぞよ。
財産は好んでもよろしいが、それに心をくらまされてはならぬ。
意気は好んでもよろしい。しかしそのために、理を曲げることはしてはならぬ。
このBには、友人の龐天池が注して言う、
此非幽夢影、乃清夜鐘耳。
これ幽夢影にあらざれば、すなわち清夜の鐘なるのみ。
この言葉は「幽かな夢の影」のように美しい。もしも夢の影でなければ清々しい夜に遠く聞こえてくる鐘の音であるに違いない。
――これは快い言葉ですなあ。
と嘆じているのである。