痛そうですな。↓
曁陽郊外の農民であった任谷は畑仕事に出かけて樹下に休憩していた。
忽有一人著羽衣就淫之、既而不知所在。
たちまち一人の羽衣を著たるがこれに就淫し、既にして所在を知らず。
突然、羽のような衣を着たひとりのひとが現われて、任谷を犯した。任谷が我に返ったときには、相手の姿はもう何処にも無かった。
これまでに味わったことの無い快感の記憶が残った。
だが、彼の体に残されていたのは、その記憶だけではなかった。
谷、遂有娠。
谷、ついに娠あり。
彼は妊娠していたのである。
そして、九ヶ月ほどしたとき、
羽衣人復来以刀穿其陰下、出一蛇子。
羽衣人また来たりて刀を以てその陰下を穿ち、一蛇子を出だす。
羽衣のひとがまたやってきて、刀を以て任谷の陰茎の下を切り取って穴を開け、そこから一匹のヘビの子のようなものを取り出すと去って行ってしまった。
任谷は男性を喪ったが、それ以降、同時に二箇所に現われたり、空を翔ったり、あるいは他人に快い幻を見せたりすることができるようになった。
彼は以上の経歴と能力を喧伝して建康の都に出、宦官として帝のお側に出仕するに至ったのである。晋の元帝(東晋第一代の皇帝である。在位317〜323)のときのことだ。
ところで、宮中の宴の際に、その任谷の幻術を見て、顔を歪めた人があった。
当時の大博物学者・郭璞、字・景純である。
任谷所為妖異。
任谷の為すところは妖異なり。
任谷の術は、正しい道術ではなく、間違った妖異の術じゃ。
郭璞は親しい天台の道士たちと自らの学問の弟子たちを集め、告げた。
「やつに術を使わしめている「力」は、おそらくこの星のものではあるまい。その「力」が任谷を宮中に送り込んできたのは何故と見るか・・・」
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これより郭璞とその弟子たち、道士たちは、圧倒的な力を持つ「敵」と闘いを開始する・・・のだが、今日は頭が痛いのです。続きの物語はわたしの頭痛が治り、さらに今の会社を辞めましてから、またゆっくりといたしましょうなあ。「晋書」巻七十二・郭璞伝より。