@天宝二年(743)。
平盧の地に、「紫虫」という虫が現われた!
稲の苗を食う虫であった。人民は天を仰いで嘆いた。
すると、・・・おお、見るがよい。
時東北有赤頭鳥。
時に東北に赤頭鳥あり。
ちょうど東北方面に赤頭鳥が現われたのだ。
群飛食之。
群飛してこれを食う。
赤頭鳥は群れ飛んできて、ムシを食べてくださった。
ああよかった。
Aこれより先、開元二十三年(735)。
このときは楡関に「子方虫」なる虫が現われた!
この虫は稲類を食いつくしながら州界を越えて平州に入り、州の人民は天を仰いで嘆いた。
有群雀食之。
群雀ありてこれを食らう。
群れた雀が来て、このムシを食べてくださった。
ああよかった。
Bそれより数年前、具州に蝗虫が現われたこともあった!
イナゴは収穫間近の稲を食うてしまった。人民は天を仰いで嘆いた。
このときは、
有大白鳥数千、小白鳥数万。
大白鳥数千、小白鳥数万あり。
大きな白鳥数千羽、小さな白鳥数百羽がやってきた。
そして、
尽食其虫。
尽くその虫を食らう。
イナゴ虫を食べ尽くしてくださった。
これもよかった。
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すべて「酉陽雑俎」巻十六に書いてあった。いずれも結果はオーライですが、それぞれに登場する
A 虫 B 鳥
を見てみると、@の例では虫も鳥も正体がわからんやつら、Aでは雀はわかるが「子方虫」というのが何物かわからぬ、Bはイナゴと白鳥とわかる、すなわち、@ A× B× A A○ B× B A○ B○となっており、規則性が窺われるところである。
ちなみに、現代においても、人民が嘆けば、天は何かを遣わして人民の富を食い尽くすムシのようなやつらを食らうてくださるであろう。ついでに食らわれるやつもあるかも知れませんが。