令和2年3月31日(火)  目次へ  前回に戻る

春になってきたので冬眠から醒めたのでモグ。なのになぜみんな花見とかしてないのでモグ?

毎日通勤電車に乗ってていいんだろうか。

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五代のころ、「義疾」という病気があったんだそうです。

なぜ「義疾」というか、というと、「義理固い病気」だから、なんだそうです。

他疾雖一臓受病労瘵。

他疾は一臓といえども病を受くれば労瘵す。

普通の病気は、五臓のうちの一つが病気になって、そこから衰弱していくものである。

「五臓」は心、肝、肺、脾、腎の各臓。

ところが、

五臓百脈倶傷、血絶、然後奄喪人。

五臓百脈ともに傷(いたみ)、血絶し、然る後奄(たちま)ち人を喪う。

五臓がすべて、さらに体中の百か所にある脈がすべて故障し、血液が滞って、そうなったらあっという間に死んでしまう。

のがこの「義疾」の特徴である。多臓器不全を惹き起こすのでしょう。

死則有蟲出。

死すればすなわち蟲の出づる有り。

病人が死ぬと、そのひとからムシが出る。

人の目に見えないぐらい小さいムシだそうです。細菌やさらに小さいウイルスのことかも知れません。

亡くなったひとの最期を看取ったり、葬儀に出向いたりすると、このムシに憑りつかれることがあります。

中者病如前人、非死不已。

中する者、病みて前人の如く、死するにあらざれば已まず。

このムシに憑りつかれた者は、直前に死んだひとと同じような病状を呈し、その後の経過は、死ななければ終わらないのである。

要するに死んでしまう。致死率10割。

そして、

一伝十、十伝百、輾転無窮。

一は十に伝え、十は百に伝え、輾転として窮まり無し。

一人が十人に伝え、十人が百人に伝え、次々と伝染して窮まることがない。

伝染した者たちは、みんな前者と同じように死んで行く。

故号義疾。

故に「義疾」と号す。

そこで、「義理固い病気」だと呼ばれるのである。

「おれにはこのやり方しかねえんでい」とかたくなに旧来の手法を守り続けるがんこ職人、みたいなものなのでしょう・・・か。

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宋・陶轂「清異録」巻四より。知合いの葬式にも出歩いてはいけないみたいです。

この「義疾」は感染症であることは確かですが、どんな病気だったのでしょうか。ちなみに、14世紀に大元帝国を襲ったのはペストで、モンゴル族の大征服のおかげ?で世界が統一されていたので、チャイナ発の流行が欧州にも広がり、ヨーロッパの人口を激減させたんだそうです。

 

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