令和2年3月12日(木)  目次へ  前回に戻る

得意なのは居眠りすること。寝ている間だけはシアワセそうにしていること。

もうダメだ。・・・ということは何度もありましたが、今度こそもうダメだ。

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北宋の名臣・欧陽脩(1007〜72)が、首都・開封府の知事に任ぜられたときのこと、前任は名裁判官といわれた孝粛公・包拯で、この人は、

以威厳御下、名震都邑。

威厳を以て下を御し、名は都邑に震えり。

厳しく威勢を示して部下をコントロールし、その威名は都とその郊外に鳴り響いていた。

というひとであったが、これに対して、欧陽脩は、

簡易循理、不求赫赫之誉。

簡易にして理に循(したが)い、赫赫の誉を求めず。

しきたりなどにはこだわらず、気安くて、正しいと思えばそれに従い、立派な名誉を求めたりしない。

というタイプのひとであった。

あるとき、

有以包公之政q公者。

包公の政を以て公をq(はげ)ます者有り。

「前任の包知事のやり方を学ばれた方がよろしいですぞ」と、欧陽脩に強く勧めるひとがいた。

すると、欧陽脩は言いました。

凡人材性不一。用其所長、事無不挙。強其所短、勢必不逮。吾亦任吾所長耳。

およそ人の材性一ならず。その長ずるところを用うれば、事の挙げられざる無し。その短とするところを強うれば、勢い必ず逮(およ)ばず。吾また吾が長ずるところに任するのみ。

「だいたいのところ、人間の才能や性質というのは一様ではないのです。そのひとの得意なところに目をつけて用いてやれば、どんな事案にも適切な人が推挙されてくるでしょう。一方で、その人の苦手なことを無理やりにやらせると、どうしても(得意なところに目をつけて用いてやるときに比べて)かないっこありません。そういうわけで、わたしはわたしの得意なやり方でやるしかないのですよ」

聞者称善。

聞者善を称す。

このコトバを聞いた者は、みんな「すばらしい」と欧陽公を称賛した。

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「宋名臣言行録」より。長所がある、と自他ともに認められるひとはいいんですが、自他ともに認められないわれらは自分がイヤになるばかりである。もうホントにダメだー。他だけ認める人は通常いないので放っておけばいいのですが、自だけ認める人には気をつけましょう。

 

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