令和2年3月5日(木)  目次へ  前回に戻る

本日は「啓蟄」。「啓蟄」を記念してシンプルに描いてみました。

冬眠の夢から醒めて、自分の置かれた現実の厳しさにおののいているドウブツたちも多いことでしょう。涙出る。

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古代・周の時代に、韓房と名乗るひとが渠胥(きょしょ)の国からやってきましたのじゃ。

周の王さまに面会しますと、「じゃじゃーん」と、

@  玉駝高五丈。

玉駝、高さ五丈。

一丈はだいたい2.25メートルだそうですから、

玉で出来た高さ11メートル強のラクダの像。

A  琥珀鳳凰高六尺。

琥珀の鳳凰、高さ六尺。

高さ1.3〜1.4メートルの琥珀製の鳳凰。

オスが鳳でメスが凰ですから、二羽あったはずです。

そして、

B  火斉鏡広六尺。闇中視物如昼。向鏡語、則鏡中影応声而答。

火斉鏡、広さ六尺。闇中に物を視ること昼の如し。鏡に向かいて語れば、すなわち鏡中の影声に応じて答う。

直径1.3〜1.4メートルの「火斉鏡」と呼ばれる鏡。この鏡は闇の中でも、その鏡面にまるで真昼のようにはっきりとモノを映し出す。また、鏡に向かって問いかければ、その中の影が(白雪姫のママははに答えたように)即座に答えてくれるのだ。

の三つのものを取り出して、王さまに献上した。

韓房自身もすごいひとで、

身長一丈、垂髪至膝、以丹砂画左右手、如日月盈缺之勢、可照百余歩。

身長一丈、垂髪膝に至り、丹砂を以て左右手に画くに、日月の盈缺の勢いの如く、百余歩を照らせり。

身の丈は2.25メートルもあり、髪は膝まで垂れ、左右の手のひらには硫化水銀(丹砂)で赤い模様が描かれていて、これはまるで太陽や月が満ち欠けするように光の強度を変えながら、百歩以上先を照らすことができた。

のだそうです。

周のひとたちは彼を見て、

如神明矣。

神明の如きなり。

神さまのようである。

と称賛した。

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晋・王嘉「拾遺記」より。人間の無意識下からそのまま立ち上がってきたような、素朴でシンプルな神話的世界が尽きせぬ魅力を持つ名著です。マジメなひとは「だから何なのだ! マジメにやれ!」と怒ってくるかも知れないぐらい、シンプル。

われらもまた、あれこれ悩まずに、シンプルに生きるのがいいのだろうけどなあ・・・。

 

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