「ホーホケキョ」「何か鳴いているのでぶー」「あれは地獄鳥の呪いのさえずりでモグ」「ぶるるる、気絶するほど怖ろしいでぶー」
まだ水曜日。失敗もあって涙出る。
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今日も雨降りで、春は未だしの寒さでした。
寒山に登って修行しようと思っていたところ、先に行ったともだちから手紙が来た。
寒山多幽奇、 寒山には幽奇多く、
登者皆恒懾。 登者みな恒に懾(おそ)る。
「懾」(しょう)は、「おそれる」「おじけて失神する」。
寒山には、はっきりしないものや、ほかにはないようなものが多いので、
登山者はみんな、(何か起こるのではないかと)いつもびくびくしていて、気を失ったりする。
時には、
遥か下方に光るモノがあった!
妖かしのモノが泣き喚いた!
と思って気が遠くなったりするのだが・・・
月照水澄澄、 月照らして、水澄澄たり。
風吹草猟猟。 風吹きて、草猟猟たり。
「猟猟」(りょうりょう)は、「喨喨」と同じく、風が吹きわたる音のオノマトペとして使われています。
澄み切った水面を月光が照らし出し、
草をなびかせて風がりょうりょうと吹いていた―――
だけだったりする。ほかにも、
凋梅雪作花、 凋梅(ちょうばい)には雪、花と作(な)り、
兀木雲充葉。 兀木(ごつぼく)には雲、葉を充たす。
「兀木」は切株。葉がつくはずはありません。
花の凋んだウメに花が咲いているとみれば、それは雪であったり、
ごつごつした切株に葉がいっぱいだと思ったら、それは雲であったりする。
特に、
触雨転鮮霊、 雨に触るればうたた鮮霊なり、
非晴不可陟。 晴にあらざれば陟(のぼ)るべからず。
雨に濡れると、(山全体が)いやましに鮮やかに霊性を持つ。
晴れた日でないと、登ってきてはいけませんよ。
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「寒山詩」より。現世コワいので早く寒山に登って修行したいのですが、現世よりさらにコワくて気を失ってしまうほどなのはイヤなので、晴れてから行きます。もう少し暖かくなってから。