令和元年11月17日(日)  目次へ  前回に戻る

行く先を告げられてもどこに行くかわからないというぶたタク。肝冷斎の放浪の旅もまた同じなのである。

社会人を辞めたので、放浪の旅に出ています。

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天気がよくシアワセなので

「うっしっし。にやにや」

としていますと、

時人見肝冷、 時人、肝冷を見て、

各謂是瘋癲。 おのおの謂う、これ瘋癲なり、と。

 現代のみなさんは、わし肝冷斎を見ると、

 みんなおっしゃる、「こいつはおかしいんじゃないか」と。

それはそうだ。

貌不起人目、 貌は人目を起こさず、

身唯布裘纏。 身はただ布裘を纏うのみ。

 ひとさまに気に入られるようなかおかたちをしているわけではないし、

 布きれとドウブツの毛皮を纏いつけているだけで、粗末な身なりだし。

それに、

我語侘不会、 我が語は侘(かれ)会(え)せず、

侘語我不言。 侘の語は我言わず。

この「語」は動詞で読んでみようとしたんですが、どうしても意味が通じないので、通説(太田悌蔵訳注「寒山詩」岩波文庫1934)どおり名詞で読んでみます。

 わしの言ってることはみなさんにはわかるまいし、

 みなさんの言うようなことはわしは言いません。

からね。 

為報往来者、 為に往来する者に報ぜん、

可来向肝冷。 肝冷に向かいて来たるべし、と。

 というわけで、右や左のだんなさまにお教えしよう、

 肝冷斎の籠る山に向かって来られるがよろしい、と。

「うそつけ!!」

「すみません、二か所の「肝冷」は「寒山」の誤まりでした」

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「寒山集」より。

「寒山さまのような当時の人たちはオロカだから高く評価しなかったが今の時代には高く評価されているひとのところには行くべきだが、肝冷斎のようなやつのところに行く必要はないからなあ」

「わははは」「わははは」「おほほほ」「ひっひっひ」

とみなさんなんだかうれしそうなので、わしも

「うっしっし」

と笑ってみました。

分け入っても分け入っても青い山→調査状況

 

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