令和元年6月22日(土)  目次へ  前回に戻る

風神くん。コロポックルとアズキアライ。雷神くん

なんか目の覚めるような文章読みたいですね。

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元の時代、浙江西部の風俗はたいへん薄っぺらであった。

なんと、

有婦女自理生計、直欲与夫相抗、謂之私。

婦女自ら生計を理め、直だに夫と相抗せんとする有り、これを「私」と謂えり。

ひとの家の奧さんが、自分で(自分の分の)生計を管理し、夫と直接競い合うということがあるのです。この奧さんの生計をこの地方では「私」と言っている。

なんということか・・・と、あまりの風俗の薄さに目が覚めるような方もいるかも知れません。(肝冷斎は女性が自立しててすばらしい、と居眠りしながら思い、この文章を訳したことで「●別よ!」と批判されないことを願うだけですが。)

その上さらには、

各設掌事之人、不相統属、以致升堂入室、漸為不美之事。

おのおの掌事の人を設けて相統属せず、以て堂に升り室に入らしめ、漸くにして不美のことを為せり。

(夫妻)両方とも金銭担当(の使用人)を置き、統一的な管理をしない。この担当者に正殿に上らせ、部屋に入らせますから、だんだんとよくないことを仕出かしてしまうことになるのですなあ。

やがては

其夫与親戚郷隣往復饋之、而妻亦如之。以致出游赴宴、漸為淫蕩之風。

その夫の、親戚・郷隣と往復してこれを饋(おく)るに、妻またかくの如し。以て出游し宴に赴くを致し、漸く淫蕩の風を為せり。

旦那が親戚や郷里・近隣のひとびとと贈り物を届け合って人間関係を作る際、奧さんも同じことをする。そうすると男と社会と同様に、知った同士で行楽に出かけてみたり、宴会を開いてみたりするので、だんだんと淫蕩の風俗ができあがってきたのである。

しかもなんとなんと、

至如母子亦然。浙東間或若是者、蓋有之矣。

母子の如きに至るもまた然り。浙東の間、あるいはかくのごとき者、けだしこれ有らん。

母親は、子どもとも生計を別にするのだそうです。同じ浙江の東部においても、同じようなオンナは恐らくいるでしょう。

怪しからんなあ。

夫婦人、伏于人者也、無専制之義、有三従之道。

それ、婦人は人に「伏す」る者なり。専制の義無く、三従の道有り。

だいたいですな、婦人というのは人に「伏」す側なので「婦」(フ)というのである。オンナが自分で勝手に判断してやるという道義は無い。父・夫・息子の三者に従わねばならんというのがそのあるべき生き方である。

ところが、

今、浙間婦女雖有夫在、亦如無夫、有子亦如無子、非理処事習以成風、往往陥于不義、使子弟視之、長其凶悪、皆由此耳。

今、浙間の婦女は夫の在ある有りといえどもまた夫無きが如く、子有るにまた子無きが如く、理にあらざるに事を処し、習い以て風を成して、往々にして不義に陥り、子弟をしてこれを視さしむるに、その凶悪を長ずるは、みなこれに由るのみならん。

現代の浙江一帯の女どもというのは、夫があるからといっても夫が無いような振る舞いをし、子がいるのに子がいないように振る舞う。道理として許されないはずなのに自分で事務を処理して、そんなことが習いとなってしまって風俗を形成し、不義に陥ることもよくあり、息子や弟に監視させてももっとひどいことをさせてしまうのは、すべてオンナが財産の活用について判断権を持っていることが原因なのである。

まあ例えば、

夫之酖酗縦博、子之不肖者、固是婦人之不幸、亦当苦諫其夫、厳教其子、使改過為善可也。亦不当自擬為男子之事、此乃人家之大不祥也。

夫の酖酗(たんく)し縦博す、子の不肖なる者、もとよりこれ婦人の不幸なれば、またまさにその夫を苦諫し、その子を厳しく教え、過ちを改めて善を為さしむるは可なり。また自ら擬して男子の事をを為すべからず、これすなわち人家の大不祥なり。

夫が酒浸りになる、バクチにはまる、子が使いものならない、これらは女性として不幸なことであるから、夫に向かってくどくどと意見したり、息子を厳しく教えて過ちを改め、善人にならせるのはよろしい。しかし、(夫や息子がダメだからといって)自分で男性のやるようなことをやってはいけません。これこそ、人の家庭を不幸にする、たいへん不吉な行為というべきでありましょう。

いやー、ほんと浙江の女は怪しからんなあ。(→あくまで浙江の女性の批判であって著者のヨメさんの悪口ではない、のがミソです。)

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「至正直記」巻二より。いやー、怪しからんなあ。女性に経済的能力が無い、など許しがたい文章です。糾弾するぞ糾弾するぞ糾弾するぞ! チャイナの読書人は建前は男尊女卑でたいてい恐妻家といいますか、支配され恐怖していますから、著者の孔斉もそうだろうと思われますが、建前とはいえこんなことを書くとは、糾弾するぞ糾弾するぞ糾弾するぞ!

 

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