ほら貝を吹いて祈祷しても、全くやる気の片りんさえ見せないモグだ。彼にかけられた「やる気無し呪い」はすさまじいものである。平日には対応できまい。
平日が一日あっただけでなんでこんなに自分や社会に否定的になってしまうのか。平日はおそろしいなあ。
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もう平日のことは忘れて、今日も後漢・広川王さまと一緒に墓荒らしをするぜ。
今日は魏の王子で若くして亡くなったという且渠(しょきょ)の墓を暴いてみます。その墓は、
甚浅狭、無棺柩。但有石牀、広六尺、長一丈、石屏風。
甚だ浅狭にして棺柩無し。ただ、石牀の広さ六尺、長さ一丈なると、石屏風と有り。
たいへん浅く、狭かったのですぐあばくことができた。外槨の中には棺も無く、ただ、幅1.4m、長さ2.3mぐらいの石のベッドと、それを覆い隠すように石の屏風が置かれているだけであった。
後漢時代の一尺≒23センチ、一丈≒2.3mで計算してみました。
「広川王さまのご威光にかかっちゃ、こんな簡単な墓あばきなんてちょちょいのちょいですよね」
とよいしょしながら石の屏風を手荒く取り除けてみたところで、思わずおれたちは息を呑んでしまった。
牀下悉是雲母。
牀下はことごとくこれ雲母なり。
まず、石のベッドの表面は、すべてガラスだった。
そしてそのベッドの上にあったのは、
牀上両屍、一男一女皆年二十許、倶東首、裸臥、無衣衾。
牀上の両屍、一男一女みな年二十ばかり、ともに東首して裸臥し、衣衾無し。
ベッドの上には二体の遺体があった。一人は男、もう一人は女、どちらも二十歳ぐらいの若さで、並んで東に頭を向け、衣服も打掛も無く、一糸もまとわぬ全裸で寝そべっていたのだ。
肌膚顔色如生人、鬢髪歯爪亦如生人。
肌膚顔色、生人の如く、鬢髪歯爪もまた生人の如し。
皮膚、顔色など、生きているひとかと思われるであり、髪の毛や歯や爪も、生きているひとのようにそろっていた。
「なんだよ、なんの副葬品も無いのかよ」
「もしかしたらベッドの下に埋められてるんじゃないか」
「しかしなかなかいい女じゃねえか」
とおれたちが遺体を押しのけようとしたとき、
「止めろ!」
と広川王が恐怖に引きつった顔をして、おれたちを押しとどめた。
「はあ? 何をびびってなさるんで?」
「今、一瞬そいつらが・・・、いや、なんでもないが、こいつらはどうも少しマズイぜ・・・」
王畏懼之、不敢侵近、擁閉如旧。
王これを畏懼し、あえて侵近せず、擁閉して旧のごとくせり。
王はこれを恐がり、それ以上侵すのを止めさせて、墓をもとのように閉じさせたのであった。
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「西京雑記」より。副葬品が無いんじゃ、しようがないないぜ。おもしろくないから、明日は会社行くのやめようかな。