冬至を過ぎても暖かくならない。四日も会社行ったのにまだ休みにならない。暗澹とするぶたたちであった。
寒いです。もう冬至を過ぎて三週間近くなるというのに、どうして春にならないのか。
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ニンゲン社会が暖かいものならば天候が寒くてもいいかも知れないんですが、ニンゲン社会は本質的に暖かくないんです。
例えば、
窮人説話不受聴、有銭的放了個出溜児屁、人人都説有声音。
窮人説話すれども聴かれず、有銭的の溜児屁を放了個出すれば、人人すべて声音有りと説かん。
貧乏人が何か話しても誰も聴いてはくれまいに、金の有るやつが「溜児屁」(すかしっぺ)を一つひったりしたら、まわりのやつはみんな、声をそろえて「いやいや、立派な音がしました」と言い出すもんだ。
なんだそうです。
お金持ちには暖かい世の中なのだ。
一天売了三石仮、三天売不了一石真。
一天に三石の仮を売り了するも、三天に一石の真を売り了せず。
一日あれば300リットルのニセモノを売りさばくことができるだろうが、三日かかっても100リットルのホンモノは売り切れない。
というように、ホンモノには冷たい世の中なのでございます。
こういう欺瞞に満ちた人生や社会への冷徹な認識については、さすがチャイナ文化は世界一ではないかと思います。すごいなあ。
ああ、このようなニンゲン社会でございますから、
爾不知道春雨貴如油麼。
爾、道(い)うを知らざるか、春雨貴きこと油のごとし、と。
おまえさん、知っていなさるかい、春の温かな雨は油のように貴重である、と。
ほんのかすかな人情でさえ、身に染みるのでございます。
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「北京俗語児典」より。はやく春雨が降らないものであろうか。