「これはなんでぴょん」地中から出てきたところをぶたウサギたちに見つかり「もぐたたき」をされるモグ。厳しい生存競争の様子が見られる。
今日は国立科学博物館を見学してきたので、自然科学に興味を持ったぞ。
そこで、自然観察に基づく報告を読んでみます。
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嘗見一蝦蟇踞地、若有所伺。
かつて一蝦蟇の地に踞(うずく)まり、伺うところ有るがごときを見る。
あるとき、一匹のガマガエルが地面にうずくまって、何かを狙っているらしいのを観察したことがある。
何を狙っているのか、と思ってガマの視線を追ってみると・・・
一蜈蚣長八寸許、相離丈余。
一蜈蚣の長さ八寸ばかりなる、相離るること丈余なり。
ムカデが一匹いました。長さ20〜30センチのでかいやつで、ガマから3メートルぐらい離れたところにいた。
ガマは突然、
張其口。
その口を張る。
口をぱっくりと開いた。
すると、
蜈蚣徐行蜿蜒入、須臾、自蝦蟇後竅出。
蜈蚣、徐行して蜿蜒と入り、須臾にして蝦蟇の後竅より出づ。
ムカデはゆっくり、くねくねしながらガマの方に向かって来て、その開けた口の中に入って行った―――。そして、しばらくすると、ガマのお尻の穴かあにょろにょろと出てきたのである。
その姿、
已縮小僅三寸許。
すでに縮小して僅か三寸ばかりなり。
いつの間にか縮んで、わずかに10センチぐらいのものになってしまっていた。
それから、
蟇復転身張口向之、蜈蚣仍前走入。
蟇、また転身して口を張りてこれに向かうに、蜈蚣前に仍(よ)りて走り入る。
ガマはまた体の向きを変えると、ムカデの方に向かって口を開けた。すると、ムカデは先ほど同様、その口の中に入りこんで行ったのである。
むむむ・・・・。
としばらく待ちましたが、
久之不復出、已果腹矣。
これを久しくしてまた出でず、すでに果たして腹せるならん。
しばらくしてももう出てこない。おそらく、もう腹の中で溶かされてしまったのであろう。
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清・湯用中「翼駉稗編」巻六。すばらしい。さらにあと二例、ドウブツ同士の生存競争を観察した記録が記載されていますが、これは明日のお楽しみ。