「ぴきぴき〜」「こいつやる気無さそうでぴき」「世の中の役に立てるよう力を与えてやるでぴき」と森の精霊「ピキピキ」に力を与えられても、モグほどのやる気の無さになると役に立とうとはしない。
なんと、このたび岡本全勝さんのHPで「役に立つHP」として紹介されました。ほんとです。よーし、今日も役に立つお話をしなければ。
・・・・・・・・・・・・・・・
戦国・斉の閔王(在位前300〜前284)のころのことです。
首府・即墨の郊外に孤狐暄というひとがいた。このひと、
正議。閔王斮之檀衢。
正議せり。閔王、これを檀衢(だんく)に斮(き)る。
時の政治について正しく批判した。すると、それを聞いた閔王は、城内の市場である檀の広場で、彼を斬刑に処した。
これ以降、
百姓不附。
百姓附さず。
人民たちは王を支持しなくなった。
王族の子孫に陳挙というひとがあった。このひとは、
直言。殺之東閭。
直言せり。これを東閭に殺す。
はっきりと王を批判した。(これを聞いた王は、)東の門の前で、彼を殺害した。
これ以降、
宗族離心。
宗族離心す。
王族の心は、王から離れた。
王は、自分が批判されるのは宰相が悪いのだと考え、
司馬穣苴爲政、殺之。
司馬穣苴(しば・じょうしょ)政を為すに、これを殺す。
司馬穣苴が政治を取り仕切っていたので、彼を殺した。
これ以降、
大臣不親。
大臣親しまず。
大臣たちは、王と問題意識を共有しなくなった。
その様子を見て、燕の国が攻め込んできた。将軍の尚子は一戦して敗れ、逃亡してしまったが、部将の達子がなんとか敗残兵を取りまとめて戦線を維持することに成功し、前線から、
求所以賞者。
以て賞するところのものを求む。
手柄のあった者に与える褒賞を求めてきた。
これに対し、
閔王不肯与。
閔王与うるを肯ぜず。
閔王は、賞を惜しんで与えなかった。
戦線は崩壊し、閔王は首府を棄てて、莒(きょ)の町に逃げ込んだ。
そこに、楚の将軍・淖歯(とうし)が援軍に駆けつけてきた。
王と面会した淖歯は言った。
千乗博昌之間、方数百里、雨血霑衣。王知之乎。
千乗・博昌の間、方数百里、血雨(ふ)りて衣を霑(うるお)せり。王これを知れるか。
「(楚からここに来るまで、斉の)千乗・博昌の地の間では、数十キロに渡って血のような雨が降って、着物が赤く染まったと評判していましたが、王さまはこれを御存じでしたか」
「知らなかった」と王は答えた。
淖歯はまた問うた。
嬴博之間、地坼至泉。王知之乎。
嬴(えい)・博の間、地坼(さ)け泉に至れり。王、これを知れるか。
「(斉の)嬴と博の地の間で、地面が割れて、黄泉に達し(地下水が噴き出すに至っ)ていました。王さまはこれを御存じでしたか」
「知らなかった」と王は答えた
淖歯はまた問うた。
人有当闕而哭者、求之則不得、去之則聞其声。王知之乎。
人の闕に当たりて哭する者有り、これを求むれども得ず、これを去ればその声を聞く。王これを知れるか。
「(ここに来てから聞いたことですが、)王城の門に向かって声を挙げて悲しみ泣いている者がいたそうではありませんか。ところが、そこに行くと誰もいない。離れるとまた声が聞こえた、といいます。王さまはこれを御存じでしたか」
「知らなかった」と王は答えた。
淖歯は深く嘆息し、
天雨血霑衣者、天以告也。地坼至泉者、地以告也。人有当闕而哭者、人以告也。
天の血を雨らして衣を霑すは、天以て告ぐるなり。地の坼けて泉に至るは、地以て告ぐるなり。人の闕に当たりて哭するは、人以て告ぐるなり。
「天が血のような雨を降らせて衣服を赤く染めたのは、天が危険を知らせていたのです。大地が裂けて地下水が噴き出すに至ったのは、大地が危険を知らせていたのです。ニンゲンらしきものが門のところで声を挙げて泣いていたのは、ニンゲン(の集合無意識)が危険を知らせていたのです」
そして、王を見据えて、言った。
天地人皆以告矣。而王不知戒焉、何得無誅乎。
天地人みな以て告ぐるなり。しかるに王は戒めらるを知らず、何ぞ得て誅(ころ)さるる無からんや。
「天と地とニンゲンがすべてそろって危険を知らせていたのに、王さまはその注意に気づかなかった。どうして死なないでいいということがありましょうぞ!」
於是殺閔王。
ここにおいて閔王を殺せり。
ついに、閔王を殺してしまった。
この王のままでは、国内がまとまらないことを知ったからである。そして、淖歯は別の王を立ててこれを支援しようとしたのであったが、そのときすでに太子は服を着替えて逃げ出してしまっており、さらに閔王の側近・王孫賈が王の仇を討つために近づいていたのである・・・・。
・・・・・・・・・・・・・・
わーい、たいへんだあ。「戦国策」巻四・斉下より。天と地と人と、三つの警告がそろうと何かが起こるんです。これは役に立つ情報かも。