コケ―! ピヨ―! 利益や収穫とかあるとすごい勢いで分け前を取り立てに来る巨大ニワトリたちである。
また明日から平日か。金曜日にいろいろし残してきているから、イヤだなあ。
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戦国の四君子のひとり、斉の孟嘗君が斉国から追逐され、それからいろいろあってまた斉に復帰することになった。
斉の賢者・譚拾子(たんしゅうし)は、
「首府にお戻りになる前にお会いしなければならんなあ」
と国境のところで孟嘗君を出迎えた。
孟嘗君と面会すると、譚拾子は言った、
君得無有所怨於斉士大夫。
君、斉の士大夫において怨むところ有る無きを得るや。
「あなたは、(あなたを裏切った)斉の士大夫たちに対して、怨恨をお持ちではない、とはいきませんか?」
孟嘗君は首を横に振った。怨恨があるのだ。
譚拾子はまた言った、
君満意殺之乎。
君、意を満たさばこれを殺さんか。
「あなたは、自分が権力の座に戻って意図したことができるようになれば、彼らをお殺しになるつもりですか?」
孟嘗君は、今度は縦に首を振った。殺すつもりらしい。
潭拾子は言った、
事有必至、理有固然。君知之乎。
事に必至なる有り、理に固然たる有り。君、これを知れるか。
「ところで、ものごとには必ず起こることがあります。理論的にそうならざるを得ないということがあります。あなたはこの二つを御存じですか?」
孟嘗君は言った、
不知。
知らず。
「わかりません」
潭拾子は言った、
事之必至者、死也。
事の必至なるものは死なり。
「必ず起こること、というのは、死ぬということです。誰でも死からは逃れられません」
「そうですな」
理之固然者、富貴則就之、貧賤則去之。
理の固然たるものは、富貴なればすなわちこれに就き、貧賤なればすなわちこれを去る、なり。
「理論的にそうならざるを得ないこと、というのは、相手が財産を持ち地位が高いならそのひとに近づこうとし、相手が貧しく身分が低いならそのひとから離れようとする、ということです」
孟嘗君は黙って聞いていた。
潭拾子は言った、
請以市喩。市朝則満、夕則虚。非朝愛市而夕憎之也。求存故往、亡故去。
請う、市を以て喩えん。市、朝はすなわち満ち、夕べにはすなわち虚し。朝には市を愛し、夕べにはこれを憎むにはあらざるなり。存を求むるが故に往き、亡きが故に去るなり。
「市場に喩えてみますから、聞いてください。市場には、朝にはたくさんのひとがいます。しかし、夕方になると人通りが無くなってしまう。これはひとびとが、朝は市場が好きで夕方は市場を憎むからでしょうか。そうではありません。朝には物資がたくさんあるからひとびとが集まってくるのですが、夕べには物資が無くなってしまっているので、誰も来ないのです」
そして、平伏して言いました、
願君勿怨。
願わくば君、怨むなからんことを。
「どうか、あなたを裏切った者たちを怨まないようにしてくだされ」
「なるほどなあ」
孟嘗君は従者に命じて、箱の中から、
取所怨五百牒削去之。
怨むるところを五百牒取りて、これを削去せり。
裏切者リストの木簡五百枚を取り出させ、そこに書かれていた名前を削り落としてしまった。
復讐を止めたのであった。
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「戦国策」巻四・斉策下より。むかしのひとも「怨み手帳」をつけていたんですね。おいらもかなり溜まってきている・・・のは横に置いて、月も週も代わったんですから、みなさん金曜日までのこと忘れてしまってくれていないかなあ。