水棲ドウブツの社会を守るためもっとやる気を見せよう、と呼びかけるカッパ。だが、なかなか理解されるのは難しい。
山中に隠棲しているので世の中のことはもうたいていどうでもいいんですが、国が亡びるのは困ることである。
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古代の名医・扁鵲(へんじゃく)が秦の武王(在位前310〜前306)に面会しました。
武王示之病。
武王これに病を示す。
武王は、扁鵲に自分の病気を相談した。
扁鵲はそれを聞き、自信ありげに、
請除。
除かんことを請う。
「病を治療させていただきたい」と願った。
「うむ、それではお願しようかな・・・」
そのとき、左右の者たちが武王の袖を引いて言うには、
君之病、在耳之前、目之下。除之未必已也、将使耳不聡、目不明。
君の病、耳の前、目の下に在り。これを除くもいまだ必ずしも已まず、まさに耳を聡ならず、目を明らかならざらしめん。
「とのさまの御病気は、耳の前、目の下あたりに原因がございます。これを治療しようとして本当にうまくいくものでございましょうか。かわりに、聴力や視力に悪い影響を与えるかも知れませんぞ」
他国者に治療を任せるのは危険です。
君以告扁鵲。
君、以て扁鵲に告ぐ。
武王は、このことを扁鵲に告げた。
「・・・という忠告を受けたので、少し考えさせてほしい」
すると、
扁鵲怒投其石、曰、君与知之者謀之、而与不知者敗之。使此知秦国之政、則君一挙而亡国矣。
扁鵲怒りてその石を投げ、曰く、君、これを知る者とこれを謀らず、而して知らざる者とこれを敗(やぶ)る。これをして秦国の政を知らしむれば、すなわち君、一挙にして国を亡ぼさん。
扁鵲は怒って、治療道具の石鍼(いしばり)を投げつけて、言った。
「とのさまは、問題を理解している者と相談せず、問題を理解していない者と失敗することを求めておられるのですな。こんなやり方で秦の国の政治をおやりになられれば、とのさまはあっという間に国を亡ぼしてしまいなさることでしょう!」、
うわーい、国が亡びないようにして欲しいなあ。
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「戦国策」巻三・秦策上より。「扁鵲先生も怒らずにセカンドオピニオンとの違いを説明してあげればいいのになあ」と思うかも知れませんが、扁鵲の歴史的実在性が疑わしいので、これは寓言(つくり話)です。この寓言を通じて、「専門家の意見を尊重しろ」ということが言いたいのでしょう。
本日は台風も行ってしまったというので、東京に出てきました。20年前の仲間と22階でメシ食った。みなさんエラクなっておられます。わたしはまた明日から山中に消えていくので何もできませんが、みなさんには国が亡びないようにがんばってほしいなあ。中立を約束しておいて突然攻めてくるやつらもいるからなあ。