平成30年7月20日(金)  目次へ  前回に戻る

楽しくやって先のことを検討などしてないやつもいる。

ひどい暑さの一週間でしたが、なんとか生き抜いて、ほっとして涙にじんでくるぐらいです。今日はいのしし鍋食って、夏バテ防止だ。しかしガマンも明後日までのつもりである。来週も暑かったら世を逃れる方向で対策を検討中である。

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清の時代の人もいろんな対策を考えていたようです。

瀕海多亮魚亮蝦、黒地放光如蛍。

瀕海には亮魚・亮蝦多く、黒地に放光して蛍の如し。

海のほとりには光る魚や光るエビが多く、真っ暗な中で光を放ち、まるでホタルのようである。

・・・海州の柴港に胡なにがしという人が住んでいた。

ある年の末、

臘尽宰一豬、将明売四郷。

臘尽、一豬を宰し、明くるを将(ま)ちて四郷に売らんとす。

十二月の終わりにブタを一頭屠って、年明けになったら近所の村びと向けに売り出そうと考えた。

ぶびー。

大晦日、明日は売り出そうとブタ肉をきれいにさばいて冷たい部屋に置いておきました。

向晩、忽室中光明如月。驚視、光出於肉。

向晩、忽ち室中に光明月の如し。驚き視るに、光肉より出づ。

その晩のこと、ふと気がつくと、その部屋から月光のように光が射してきている。驚いて部屋を覗くと、なんと―――ブタの肉から光が出ていたのだ。

「うひゃあ!」

驚いたが、この胡なにがしはオロカモノではなかった。すぐに対策を検討したのである。

「夜だから光っているが、朝になったら目立たないのではないか。それに・・・

恐駭人聴不得售、因秘之。

人の聴きて售るを得ざるを恐駭し、因りてこれを秘す。

もしこのことをひとが聞いたら、気味悪がって肉が売れなくなるのではないだろうか。ふふふ、ここは驚いているわけにはいかないぜ」と、このことを秘密にすることにしたのであった。

さて、

次日隣人買食、亦無他異。

次日、隣人買いて食らうに、また他異無し。

翌日、隣家のひとが肉を買って行って、家族で食った。結局、何の変事も起こらなかった。

ということである。対策が功を奏したのであった。

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「翼駉稗編」巻四より。いろいろ考えさせられるお話ですね。それにしても光るブタもいるのである。ブタだって魚やエビ並みではあるということだ。

 

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