善の心を持つだけで今日の空のように晴れやかだニャー。善の役人(「循吏」)もハレバレとキモチよかったのだろうニャー。
今日は職場に行けてうれしかったなー。明日も職場に行きたいけど、もうムリなようである。
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シゴトをするひとは、能力だけでなくいろいろたいへんなんです。
春秋の時代ですが、
公儀休者魯博士也。
公儀休(こうぎきゅう)なるものは魯の博士なり。
公儀休というひとは、魯の国の博士であった。
その才能識見がたいへん高いというので、博士から魯の宰相にまで抜擢されたのである。
すると、
客有遺相魚者、相不受。
客に、相に魚を遺(おく)る者有るも、相受けず。
あるひとが「宰相どのに」と魚を贈ってきてくれたのだが、公儀休はこれをお断りしたのであった。
そのひとが言うには、
聞君嗜魚、遺君魚。何故不受也。
君が魚を嗜(たしな)むと聞きて君に魚を遺るなり。何ゆえに受けざるや。
「あなたが魚がお好きだと聞いたので、あなたに魚をお贈りしたのです。どうしてお受け取りくださらぬのか」
何か請託するところがあって贈ったのではないんですよ、ということです。
公儀休は言った、
以嗜魚故不受也。今爲相能自給魚。今受魚而免、誰復給我魚者。吾故不受也。
魚を嗜むが故を以て受けざるなり。今、相たりてよく魚を自給す。今魚を受けて免ぜらるれば、誰かまた我に魚を給する者ならんや。吾ゆえに受けざるなり。
「そうなんです、魚が大好きなんです。そのために受け取れないんですよ。わたしは現在、宰相にしていただいているので、自分で魚を手に入れるだけの所得があります。しかし、今あなたから魚をいただいてそのせいでクビになったりしますと、いったい誰がわたしに魚を贈ってくれるでしょうか。わたしはそれが気にかかってお受け取りできないんです」
なるほど。わたしも納豆タマゴ定食とかシウマイ弁当とか、いろいろ食べたいものがあるので、よくわかります。食べたいもののためならガマンできる。
その後、公儀休は、
使食禄者不得与下民争利。
禄を食(は)む者をして下民と利を争うを得ざらしめんとす。
お上から給料をもらっている官吏が、商売などによって人民たちと利益を争うことのないようにしようとした。
ある日、
食茹而美。抜其園葵而棄之。
茹を食らいて美なり。その園の葵を抜きてこれを棄つ。
ゆで野菜を食って、「これは美味い」と思った。そこですぐ出て行って、自分の家の畑のあおい草を抜いて全部捨ててしまった。
「あんた、何してんの」
と奧さんから訊かれると、
「これも野菜だから、美味いといけないからな」
と答えたのであった。
また、
見其家織布好。
その家の織布の好(よ)きを見る。
自分の家でできた布を見たところ、実によい出来である。
「すばらしい布だな、おまえが織ったのか」
「そうですわ」
と奧さんが答えますと、
疾出其家婦、燔其機、云欲令農士工女安所讎其貨乎。
すみやかにその家婦を出だし、その機を燔(や)き、云うに農士・工女をして安(いず)くのところにかその貨を讎せんと欲するか、と。
「讎」(しゅう)は「かたき」の意ですが、二つのものを争わせる意から、二つ以上の文書を比べて正しい文字を定めることを「校讎」と言ったり、市場で相対で売買するという意味もあります。
すぐに奧さんを追い出し、使っていた織機を焼き捨てて、家中の者たちに向かって、
「(こんないいものを造るとは怪しからん!)農家のひとや織工の女たちに、どこに彼らの織ったものを持って行って商売させようと考えているのか!」
と言った。
そうでございます。なんかやりすぎてきた感じがします。大丈夫かな。
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「史記」巻119・循吏列伝より。いいシゴトをするには、少なくとも女房は追い出さんといかんようですぞ。わしは体調悪いんで風呂入って早く寝ます。明日はシゴトは行きたくてもムリだろうなー残念だなー。みなさんはがんばってください。