どれだけ教え導いても言うことを理解しないやつもいるのだ。ひよこナビも疲れてやる気がモグってしまう。
まだ木曜日かあ、早く週末・・・と思いましたが、肝冷斎はもはや俗世とは関係ないから曜日なんか気にする必要はないんでした。わはははは。では、のんびりしたドウブツのお話でもいたしましょう。
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晋の太安年間(302〜303)、江夏の張騁(ちょう・てい)というひとが、ウシの背中に乗ってのんびり出かけたんだそうです。
田んぼの中をゆるゆる行っているとき、突然、
所乗牛言曰、天下乱。乗我何之。
乗ずるところの牛言いて曰く、「天下乱る。我に乗じていずくにか之かん」と。
乗っていたウシがしゃべり出した。
「天下はこれから乱れるぞ。そんなときに、わしに乗ってどこに行こうというのかね?」
「な、なんと」
騁懼還、又言曰、帰何早也。
騁懼れて還るに、また言いて曰く「帰ること、何ぞ早きや」と。
張騁は怖くなって家に帰ろうとしたが、するとまたしゃべり出した。
「おいおい、ずいぶんお早いお帰りだなあ」
「わわわ」
出かけても帰っても文句を言うようです。
「もう帰っていいんなら、よいしょ、と」
尋後牛又人立而行。
ついで後、牛また人立して行けり。
それから、ウシは今度はニンゲンのように二本足で立ち上がって、家路についた。
「うわー」
張騁はウシの背中から落ちて、
見之。
これを見たり。
ウシが歩いて行くのを見送ったのであった。
その後自分も歩いて帰ってきたのだが、家についてみるともうウシは繋がれていて、騁を見ると、
モウ。
と鳴いて、にたりと笑った。うっしっし。
「むーん」
騁は気を失い、そのまま寝付いてしまって、
不踰月而卒。
月を踰えずして卒す。
その月のうちに死んでしまった。
翌304年、晋国は内紛を起こし、一年のうちに永安、建武、再び永安、さらに永興と改元、その間に前趙、成漢が叛いて建国する。五胡十六国の大乱が始まったのである。
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唐・陸勲集「集異志」巻四より。ところがゲンダイでは、騒々しいだけのマスメディアがあるだけで、このように国難を真摯に予告してくれるドウブツはいないのだ。心配なことではないかね。