闇に生きる忍者たちのように社会の表面から消えていくこととなりました。さようなら。
寒い。さらに平成最大の寒波が迫りつつある、というのです。おいらはもう表に出ません、というか出られないので、社会から脱落することとなりました。今日までどうもありがとう。
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せいせいしたのでダイコンでも食いますよ。
生蘿蔔切糸作小菜、拌以醋及他物。
生羅蔔、切糸して小菜と作し、拌するに醋及び他物を以てす。
ナマダイコンを糸のように細く切って小さなおかずにし、これに酢やその他のものを和える。
用之下粥最宜。
これを用いて下粥すれば最も宜(よろ)し。
これを、お粥に添えて食べると、サイコーである。
ただし困ったことに、ダイコンは
食後打噯、噯必穢気。予嘗受此厄於人、知人之厭我、亦若是也。故亦欲絶而弗食。
食後噯(あい)を打す、噯すれば必ず気を穢す。予かつてこの厄を人に受け、人の我を厭うこともまたかくの若しと知れり。故にまた絶して食らわざらんと欲す。
食べたあと、げっぷが出そうになる。げっぷをすると周りの空気が臭くなってしまうが、わしはむかし、人にげっぷをされてイヤな目に遭った。それで、周りのひともわしにげっぷをされたらこんなふうにイヤになるのだろう、と思い知り、以降、ダイコンは食わないことにしているのである。
しかしながら実は、
此物大異葱蒜。
この物は大いに葱・蒜に異なれり。
ダイコンは、臭うといっても、ネギやニラとは大いに違うところがある。
すなわち、
生則臭、熟則不臭。
生なれば臭く、熟すれば臭わず。
ナマのままだと臭うが、煮込んでしまえば臭わないのである。
これは、
与初見似小人而卒為君子者等也。雖有微過、亦当恕之。
初見するに小人のごときもついに君子となるものと等しきなり。微過有りといえども、またまさにこれを恕すべし。
最初会ったときにはくだらないやつに見えた男が、いつの間にか立派なニンゲンに成長していた、というのと同じことではなかろうか。したがって、少々の欠点があっても、大目に見るべきであろう。
なので、ダイコンを禁食する必要はありません。
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清・笠翁・李漁「閑情偶寄」巻十二より。これからは社会の一線から退いて、ダイコン食って暮らすことにしました。