平成29年11月8日(水)  目次へ  前回に戻る

すごくカッコいい魚を捕まえたでカッパ。

毎日毎日食べ過ぎてしまう。苦しい。どうすればいいのだろうか。

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春秋の時代、斉の景公がむかしの紀の国のあった地方に出かけたときのことです。

紀の国は小さな国でしたが、いしにえの夏王国の末裔であるとされていましたから、その故地には古い文物が遺されている。景公はこの地に在留中に黄金の箱を入手した。

乃発視之、中有月書。

すなわちこれを発して視れば、中に月書あり。

「月書」とは聞きなれない言葉なので、「丹書」(赤字で刻まれた文字)の誤まりであろうとされますが、一応ここでは「月の満ち欠けにかたどった書体」と解しておきます。

そこで、その箱を開いてみると、その底には、月の満ち欠けにかたどった不思議な字体の文字が刻まれていた。

その文字を解読すると、曰く、

食魚無反、勿乗駑馬。

魚を食らうには反する無かれ、駑馬には乗る勿れ。

魚を食うときにはひっくり返して裏まで食べてはいけない。農耕用の馬には乗ってはいけない。

といういにしえの格言らしきものが書かれていた。

どういう意味でしょうか。

おいらの意見:魚は半分残し、馬に乗らずに行きかえりや歩くようにすればダイエットになる、ということでは無いでぶうか。たいへん難しいことなので、むかしの人は黄金の箱に刻んだのでぶなあ。

景公はおっしゃった。

食魚無反、則悪其鯹也。勿乗駑馬、悪其取道不遠也。

「魚を食らうに反する無かれ」とはその鯹(なまぐさ)きを悪むなり。「駑馬に乗る勿れ」とはその道を取りて遠からざるを悪むなり。

「魚を食うときにはひっくり返して裏まで食べてはいけない、というのは、よく火が通らず生臭いままのことがあるので、腹を壊さないように気を付けろ、ということで、農耕用の馬に乗ってはいけない、というのは、そういう馬はあまり遠くまではいかないから、大した距離でもないのに馬になんか乗って楽をしてはダメだ、ということだろう」

「いやいや」

宰相の晏嬰さまが早速否定いたしました。

不然。

然らず。

「ちがいますな」

食魚無反、毋尽民力乎。勿乗駑馬、則無置不肖於側乎。

魚を食らうに反する無かれとは、民力を尽くす毋からんか、となり。駑馬に乗る勿れとは、すなわち不肖を側に置く無からんか、となり。

「魚を食うときにはひっくり返して裏まで食うな、というのは、人民の力を搾り取り切ってしまっていないか反省しろ、ということですな。農耕用の馬に乗ってはいけない、というのは、無能なやつ、愚かなやつを側に置いてお気に入りにしていないか反省しろ、ということなのです」

「へー、そうなのか。それでは・・・」

景公は質問した。

紀有書、何以亡也。

紀に書有り、何の以(ゆえ)にて亡びしや。

「紀の国にはこのようないにしえの良いコトバが記録されていたのに、そのような国がどうして今は滅んでしまったのだろうか」

おいらの意見:食べ過ぎてしまったのでぶよ。収穫物以上に食べてしまったので滅んだのでぶー。

晏嬰はおっしゃった。

有以亡也。嬰聞之、君子有道、懸之閭。紀有此言注之、其不亡何待乎。

以(ゆえ)有りて亡びしなり。嬰これを聞けり、君子に道有れば、これを閭に懸く、と。紀にこの言有りてこれを注す、それ亡びずして何をか待たんや。

滅亡したのにはそれなりの理由があるのです。わたくしはかつて賢者から、「伝えていきたい良い方針があれば、(誰にでも見えるように)門の両側に書いておくべきだ」と聴いたことがございます。ところが紀の国では、魚をひっくり返すな、駑馬に乗るな、という良い方針がありながら、これを箱の中に書き込んだ。(良い方針をみんなで共有しよう、というキモチが無かったのです。)そんなことでは滅亡せずにどうしようというのでしょうか(滅亡するしか無いではありませんか)。

おしまい。

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「晏氏春秋」巻三・雑上より。ダイエットに役立つコトバでは無さそうです。ぶー。どんどん体重増えるばかりで、何とかしてほしいでぶ。

ダイエットには役に立ちませんが、みなさんの生き方にはもしかしたら役に立つかも知れませんので、マジメに読んでくれるといいのですがねえ・・・。

 

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