平和な秋になってまいりました。おいらがこの木の上で鳴いているのももう・・・
つくつくぼうしでつくつく。朝晩の気温も下がってまいりまして、そろそろおいらたちも店じまいなんですが、今日は土曜日だから今日一日だけこの世に居よう、と。
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ちょうどこの季節の詩を一首。
雨過一蝉噪、 雨過ぎて一蝉噪(さわが)しく、
飄蕭松桂秋。 飄蕭として松桂秋なり。
一雨過ぎたあと、一匹だけセミが鳴いている。
飄々とさびしい風が吹き、松や桂の樹々はもう秋の風情だ。
そんな季節に、詩人は一人、お寺に来たそうなんです。
青苔満階砌、 青苔は階砌に満ち、
白鳥故遅留。 白鳥は故より遅留す。
石段には青いコケがびっしりと生え、
そこに白い鳥が、ずっと前から佇んでいる。
暮靄生深樹、 暮靄は深樹に生じ、
斜陽下小楼。 斜陽は小楼に下りぬ。
夕暮れの霧が、深い森の中から湧いてくる。
日は傾き、小さな楼閣の向こうに沈んでいく。
これから、静かに実り行く季節を迎えるのだ。
誰知竹西路、 誰か知る、竹西の路を。
歌吹是揚州。 歌吹はこれ揚州なりき。
竹林の中を西へやってきたところに、こんな場所があったなんて、
歌と音楽に毎日を過ごす揚州のまちでは、知らなかった。
んだそうです。
このひとは若いころ揚州で遊んでたので有名なひとですからね。ようやく中年にさしかかってきたころの感懐の詩なんです。季節も人生もだんだんと晩れていく。
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唐・杜牧「題揚州禅智寺」(揚州の禅智寺にて)。
ほんと、この夏も、お騒がせしました。セミを代表してお詫び申し上げます。つくつくつくつく・・・・