ブタはなんでもコワい。右のヤマネコは特にこの「とらやき」がコワいらしい。コワいものを克服して食べられるようになるとは大した精神力である。
土曜日終わった。もう明後日は来週。おまけに明日はちょっとめんどっちい用事もあるし・・・。
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来週が来る前に、少しでもみなさんの役に立つお話をしておきたい、と思います。
張天覚というひとは宋の時代に丞相にまでなったひとだそうです。このひと、自分では草書が得意なつもりでいたのですが、決して上手ではなかった。
一日得句、索筆疾書、龍蛇飛動。使侄書之。
一日句を得て、筆を索めて疾書するに龍蛇の飛動するがごとし。侄をしてこれを書せしむ。
ある日、いい詩句が思い浮かんだので、すぐに筆を探してすばやく書き付けた。その文字はまるで龍やヘビがうねっているようにうねうねした文字であった。
丞相は秘書代わりにしている甥っ子に、この詩を清書させた。
甥っ子は慣れたものであったのだが、
当険怪処、罔然而止、問丞相曰、此何字也。
険怪なる処に当たりて、罔然として止まり、丞相に問いて曰く、「これ何の字ぞや」と。
あまりに難しくてどうしても読めないところがあって、そこで茫然として筆を止めた。しかたなくおじさんのところに行って、
「これはなんという字なんでしょうか」
と訊いてみた。
「どれどれ・・・」
丞相視之、亦自不識、詬其侄曰、胡不早問、致吾忘之。
丞相これを視て、また自ら識らず、その侄を詬(ののしり)て曰く、「なんぞ早く問わず、吾をしてこれを忘るるを致さしむるや」と。
張丞相はその字を見て、自分でもやはりわからなかった。しばらく見ていたが、やがて、突然、
「ばかもの! どうして早く質問しなかったのだっ。もう少し早く訊かないから、わしは忘れてしまったではないか!」
と、甥っ子を叱りつけた。
ということである。
ふんふん、なーるほど。
おえらがたはおいらたちを叱る種を探すために生きているのかも知れない、ということがわかって役に立ちましたね。
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明・謝肇淛「五雑組」巻十六より。
この巻には近世の東アジアに流行ったギャグの元ネタがたくさん入っています。「まんじゅうコワい」の元話もありますよ。役に立つなあ。どうしてみなさん、肝冷斎に「そんなに役に立つならもっと内容教えてください」と頼みに来ないのか、不思議でならないぐらいです。(平凡社東洋文庫に全訳があるから、みなさんすべて読んでおられるからなんでしょうなあ)