平成29年5月13日(土)  目次へ  前回に戻る
ネコはモグやチュウジたちと違って反体制的で暴れるにゃぜ。

明日はもう日曜日か・・・。もうすぐ平日が来てしまうんだなあ。だんだん心が荒んでくるぜ。みなさんもでしょう?

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五代のころのこと、浙江・会稽に李眺という読書人がいました。

このひと、ある日、

偶拾得小石青黒平正温滑、可翫。

たまたま小石の、青黒にして平正、温滑にして翫(もてあ)そぶべきを拾得せり。

たまたま、青黒い小さい石を拾った。平たくて全体に四角く、表面は温潤で滑らか、手元においていじくっていたくなるようなやつであった。

「なんかいいな、これ」

と持って帰りまして、

用為書鎮焉。

用いて書鎮と為せり。

文鎮に使うことにした。

その石で紙を抑えておいて、ちょっと用事を果たして戻ってくると、

有蠅集其上、駆之不去。

蠅、その上に集まる有りて、これを駆るも去らず。

ハエがその石の上にたかっている。「しっしっ」と払ったのだが、動きもしない。

「どうしたことだ」

視之、已化為石。

これを視るに、すでに化して石と為れり。

よくよく見てみますと、なんと―――! ハエはすべて、石化して、その石の上に転がっていたのだ。

「むむ、これは・・・」

求他蟲試之、随亦化焉。殻落堅重、与石無異。

他蟲を求めてこれを試みるに、随いてまた化せり。殻落ちて堅くして重く、石と異なる無し。

ほかの虫をつかまえてきて試してみたところ、やはりどんどん石になってしまった。甲虫を近づけてみるとその殻が落ちて、固く重く、石と同じようになってしまうのである。

「これはすごいな」

(・・・次はもっと大きなモノで試してみたいぞ。ぐふふふ・・・)

李眺はネコを捕まえてきて、石に近づけてみた。

しかしネコは突然暴れて、李眺の手をガリガリと引っ掻いたので、李眺は思わずネコを手放した。

「ふぎゃー!」

ネコは机の上に飛び降り、くだんの石を蹴り飛ばすと、ひょいひょいと庭から塀を越えて逃げて行ってしまった。

「いててて」

と引っ掻き傷を押さえながら蹴り飛ばされた石を探すと、それは真っ二つに割れていて、それ以来、不思議な力は失われてしまったのであった・・・。

さてさて。

「その片割れがこれなんですよ」

と李眺はにやにやしながら見せてくれたが、どこまでが真実の話なのか、彼以外の誰にもわからない。

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五代・杜光庭「録異記」巻七より。

抵抗して暴れるネコちゃんではなく、ニンゲンで試してみればよかったんではないですか。抵抗できないようにして・・・。ひいっひっひっひっひっひ・・・。

 

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