平成29年5月4日(木) 目次へ 前回に戻る
ごぼごぼと海中を漂うモクズとなって楽に暮らせるかも知れないのに、人間世界に行ってしまうものもいるのだなあ。
山水の中で自分を見直しているさいちゅうです。
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「わーい、蘇州郊外に来まちた。先生、あれが天平山でちゅよ」
「おお、そうか」
「あの山頂に泉が湧いているんでちゅ。「呉中第一泉」の名声高い白雲泉でちゅね」
というわけで、天平山に登ります。
天平山上白雲泉、 天平山上の白雲泉、
雲自無心水自閑。 雲おのずから無心、水おのずから閑なり。
天平山の上の白雲泉に来てみました。
山上から眺める雲は、ぼけーとしているようです。泉の水は、とろんとしています。
「この水はここでは池になっていまちゅが、ここから滝になって流れていくんでちゅよ」
「山上ではこんなにゆったりしているのに、のう」
何必奔衝山下去、 何ぞ必ず奔衝して山下に去り、
更添波浪向人間。 更に波浪を添えて人間(じんかん)に向かう。
どうしておまえは、ほとぼしるように山の下へ流れて、
波濤を高くして人間世界に向かっていくのか。
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唐・白楽天「白雲泉」絶句。
「せっかくゆったりしているのに、わざわざニンゲン世界に戻る必要はないぞ」
と教えてくれているのかな。それとも、引力に牽かれて否応なしにニンゲン世界に向かわねばならない悲しみをうたっているのかな?