平成29年3月27日(月)  目次へ  前回に戻る

モグが袖の下を持ってきた。中身は「拾ったタネ、五円玉、何ものとも知れぬ虫のカンピンタンにござりモグる。どうぞお収めを」ということである。コトバにして伝えられるようなまともな状況ではないようである。

明日は朝早いので早く寝ないと。朝早いと昼腹が減るんですよね。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

五代のひと、明真禅師・弘瑫(こうとう)に、ある僧が問うた。

向上一路、千聖不伝。未審和尚如何伝。

向上の一路は千聖の伝えざるところ。いまだ審らかにせず、和尚の如何に伝うるかを。

「向上一路」は禅の教えの中の一番上等で微妙な悟りの在り方をいう。

「悟りを得た方の「上の方の様子」は代々の聖者さまたちもコトバにして伝えてはおられません。さてさて、和尚さまはどんなふうに伝えなさりますか(もちろんお悟りでしょうから、おわかりなんでしょうけど)」

禅師はちょっとぽかんとして僧を見つめたが、ややあって言った。

且留口吃飯着。

しばらく口に吃飯を留着せよ。

「いま口に入れているメシをようく噛むのじゃぞ」

以上。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「景徳伝燈録」巻十九より。

悟りなどというものは、日常の食うとか寝るとか行くとか坐るとかの中にしかないので、日常を超越した高等なところにあるわけではないらしいんです。

それはそれとしまして、腹が減るならよく噛んで食べろ、というのは重要な教えではある。

 

次へ