そういえばサルは先週「鳥からインフルうつされたでモンキ」と言って休んでしまい、出勤してきていない。来週は白くなって出てくるカモ知れません。
一昨日岡本全勝さんのHPで紹介されたことを報告しましたが、みなさん、どこか引っかかるところはありませんか。一応そこそこの知名度のある岡本HPが何故、当方のような弱小を紹介するのだろうか。これは何かあるのカモ・・・。
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それはそれといたしまして、明の時代のことでございますが、山東の某州という町に、
忽有一布算術士、皓首龐眉、談人命数奇中。
忽として一の布算の術士の、皓首にして龐眉なる有りて、人の命数を談ずるに、奇中せり。
どこからかふらりと、運命占い師がやってきた。髪は白く、眉が大きくて(年をとっていて)、ひとの運命を語ると、不思議なほど的中するのであった。
「皓首・龐眉」は「頭が白い、眉が厖大である」という意味で、老人の形容詞です。
さて、この町の住民に張二郎というのがいたが、これがなかなかの大したやつで、この占い師がどんな者なのか、試してみようとしたのだ。
ある日、使用人に名刺を持って占い師のところに行かせ、「ぜひ占っていただきたいことがござる」と称して自宅に招いた。
一方、
潜繋一大紙炮於胡牀脚、用長薬線隔壁穿過。
ひそかに一大紙炮を胡牀の脚に繋ぎ、長薬線を用いて隔壁を穿過せしむ。
椅子の脚に大きな紙製の花火玉をくくりつけ、それに長い導火線を着けてこれを壁の穴に通し、その先を隣の部屋に引っ張っておいた。
やがて占い師がお見えになりました。
「いや、ようこそようこそ」
と、張二郎は占い師をその椅子に座らせ、自分は向かい合って座りました。
そうして、
叙話方洽、密使人於内取火炷綫。
話を叙することまさに洽くして、ひそかに人をして内において火を取り、綫に炷(シュ)せしむ。
よもやま話をいろいろして、たけなわになってきたころ、そっとサインを送って、使用人に隣室で導火線に火をつけさせた。
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ドッカ―――――ン!!!!
裂声如雷、光迸一室。
裂声雷の如く、光一室に迸しりたり。
爆発音はカミナリのように響き渡り、火光は部屋の外まで照らし出した。
「キイイイイイイイイイイ!」
奇妙な叫び声とともに、
術士遂跳入梁上、復其本形。
術士ついに跳ねて梁上に入り、その本形に復す。
占い師は梁(はり)の上まで飛び上がって、その本当の姿に戻った。
それは
一白猿精也。
一の白猿の精なり。
白いサルの妖怪であった。
「なんと、サルであられたか!」
「キキー、謀りおったなあ!」
サル怪は、
数責主人軽薄、令其入内、少頃仍変為人、倉皇出門。
主人の軽薄を数責し、その入内を令し、少頃にすなわち変じて人と為りて、倉皇として門を出づ。
「なんということをしてくれたのだ、おまえはなんという考えの無い者なのだ!」
と何度か主人の張二郎を批判し、
「いいか、絶対部屋から出るでないぞ!」
と言うや、しばらくするとまた人間の姿になって、あたふたと門から出て行ったのだった。
「追いかけろ」
と張と使用人は占い師の宿に押し掛けたが、
即逸去、莫知所適。
即ち逸去し、適(ゆ)くところを知るなし。
入れ違いにもう宿を引き払っており、どこに行ったか、行方知れずであった。
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明・銭希言「獪園」第十四より。
目に見える表面のすがたに欺かれてはいけません。占い師と見えていた者がサルの妖怪だったのです。
―――とすると、次のようなことが考えられませんか。すなわち、岡本全勝さんが「肝冷斎」なのではないか、と。少なくとも「肝冷斎」のうちの一人なのではないか・・・。そう考えれば、弱小HPを紹介している謎も解けてくるぞ!(・・・なわけないと思うけど)