平成29年1月15日(日)  目次へ  前回に戻る

そういえばサルは先週「鳥からインフルうつされたでモンキ」と言って休んでしまい、出勤してきていない。来週は白くなって出てくるカモ知れません。

一昨日岡本全勝さんのHPで紹介されたことを報告しましたが、みなさん、どこか引っかかるところはありませんか。一応そこそこの知名度のある岡本HPが何故、当方のような弱小を紹介するのだろうか。これは何かあるのカモ・・・。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

それはそれといたしまして、明の時代のことでございますが、山東の某州という町に、

忽有一布算術士、皓首龐眉、談人命数奇中。

忽として一の布算の術士の、皓首にして龐眉なる有りて、人の命数を談ずるに、奇中せり。

どこからかふらりと、運命占い師がやってきた。髪は白く、眉が大きくて(年をとっていて)、ひとの運命を語ると、不思議なほど的中するのであった。

「皓首・龐眉」は「頭が白い、眉が厖大である」という意味で、老人の形容詞です。

さて、この町の住民に張二郎というのがいたが、これがなかなかの大したやつで、この占い師がどんな者なのか、試してみようとしたのだ。

ある日、使用人に名刺を持って占い師のところに行かせ、「ぜひ占っていただきたいことがござる」と称して自宅に招いた。

一方、

潜繋一大紙炮於胡牀脚、用長薬線隔壁穿過。

ひそかに一大紙炮を胡牀の脚に繋ぎ、長薬線を用いて隔壁を穿過せしむ。

椅子の脚に大きな紙製の花火玉をくくりつけ、それに長い導火線を着けてこれを壁の穴に通し、その先を隣の部屋に引っ張っておいた。

やがて占い師がお見えになりました。

「いや、ようこそようこそ」

と、張二郎は占い師をその椅子に座らせ、自分は向かい合って座りました。

そうして、

叙話方洽、密使人於内取火炷綫。

話を叙することまさに洽くして、ひそかに人をして内において火を取り、綫に炷(シュ)せしむ。

よもやま話をいろいろして、たけなわになってきたころ、そっとサインを送って、使用人に隣室で導火線に火をつけさせた。

ジジジ・・・・・

ドッカ―――――ン!!!!

裂声如雷、光迸一室。

裂声雷の如く、光一室に迸しりたり。

爆発音はカミナリのように響き渡り、火光は部屋の外まで照らし出した。

「キイイイイイイイイイイ!」

奇妙な叫び声とともに、

術士遂跳入梁上、復其本形。

術士ついに跳ねて梁上に入り、その本形に復す。

占い師は梁(はり)の上まで飛び上がって、その本当の姿に戻った。

それは

一白猿精也。

一の白猿の精なり。

白いサルの妖怪であった。

「なんと、サルであられたか!」

「キキー、謀りおったなあ!」

サル怪は、

数責主人軽薄、令其入内、少頃仍変為人、倉皇出門。

主人の軽薄を数責し、その入内を令し、少頃にすなわち変じて人と為りて、倉皇として門を出づ。

「なんということをしてくれたのだ、おまえはなんという考えの無い者なのだ!」

と何度か主人の張二郎を批判し、

「いいか、絶対部屋から出るでないぞ!」

と言うや、しばらくするとまた人間の姿になって、あたふたと門から出て行ったのだった。

「追いかけろ」

と張と使用人は占い師の宿に押し掛けたが、

即逸去、莫知所適。

即ち逸去し、適(ゆ)くところを知るなし。

入れ違いにもう宿を引き払っており、どこに行ったか、行方知れずであった。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

明・銭希言「獪園」第十四より。

目に見える表面のすがたに欺かれてはいけません。占い師と見えていた者がサルの妖怪だったのです。

―――とすると、次のようなことが考えられませんか。すなわち、岡本全勝さんが「肝冷斎」なのではないか、と。少なくとも「肝冷斎」のうちの一人なのではないか・・・。そう考えれば、弱小HPを紹介している謎も解けてくるぞ!(・・・なわけないと思うけど)

 

次へ