平成28年10月16日(日)  目次へ  前回に戻る

「きみ、なにか言うてみい」「ぶう」「なんか言うてみい」「ぶう」「そやから何か言うてみい」「ぶう」「こらなんともならんわ!」♪(ギター伴奏)「ハアー、なんともなんともならんでぶぶぶう」・・・というのが彼らの芸風だ。

今日は休みで楽しかったなあ。明日は平日だが、一族の誰かが出勤してくれるのかな? おいらはもう行きませんよ。

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明の正徳年間(1506〜21)、安徽で旱害があり、知事さんまで出てきて大々的に雨乞いが行われたのですが、雨は降りませんでした。

知事さんの日ごろの行いも悪かったのでしょう、人民たちの間では、

府守祈雨欠誠而神無感応。

府守雨を祈るに誠を欠き、神の感応する無し。

府知事が雨を祈るときに誠実さを欠いたので、雨神が反応しなかったのであろう。

とウワサしあっておりました。そこで、

無頼子作十七字詩嘲之。

無頼子、十七字詩を作りてこれを嘲う。

やくざ者が、十七字の詩を作って、知事のことを嘲笑した。

どんな詩かといいますと、

太守出祷雨、万民皆喜悦。昨夜推窗看、見月。

太守出でて雨を祷れば、万民みな喜悦す。昨夜窗を推して看るに、月を見たり。

ハアー、太守さまが出てきて、雨乞いなさる。これで雨降るとみな大喜び、チョイト

ところがゆんべサ、窗開けて外見りゃ、まあるいお月さまが、ヤトドッコイサ、ぴかぴかと。

「怪しからん」

知事さまはお怒りになられ、やくざ者を逮捕して、

責過十八、止曰、汝善作嘲詩耶。

過を責むること十八、止めて曰く、「汝、善く嘲詩を作るや」と。

その罪を責めて十八回杖でぶん殴らせ、そこで止めて「おまえは、まだ人を嘲笑する詩をつくることができるか?」と問いかけた。

其人不応。

その人、応ぜず。

その男は黙りこくって口を開かない。

知事は、このようなやくざ者に詩が作れるというのも疑問に思えて来た。真の作者が別にいるのかも知れない。

知事は男に問い掛けた。

「あの詩の作者は別にいるのか?」

答えない。

「ふーむ」

汝能再作十七字詩則恕之。否則罪置重刑。

なんじ、よく再び十七字詩を作らば、これを恕(ゆる)さん。否なれば罪して重刑に置かん。

「おまえ、(ひとを嘲笑しなくていいので)もう一つ十七字の詩を作ってみよ。そうしたら無罪放免にしてやろう。できないなら、重い刑罰に処するぞよ」

すると、男は即座に

作詩十七字、被責一十八。若上萬言書、打殺。

詩を作ること十七字、責めらるること一十八。もし萬言の書を上(たてまつ)れば、打殺されん。

ハアー、うたを作った十七文字の、したらぶたれた十八発、チョイト

もしも一万字の上奏作り、朝廷に届けたらサ、一万一発ぶたれて、ヤトドッコイサ、殺される。

「わっはっはっはっは」

知事さまは大笑い。

「わかった、わかった。無罪放免じゃ。今後はあんまりわしの悪口は歌うなよ」

ということで、

哂而逐之。

哂いてこれを逐えり。

笑って無罪放免にした。

ああ。

此世之所少、無頼亦可謂勇也。

これ世の少なきところ、無頼もまた勇なりと謂うべきなり。

こんなことは世間にはあまりないことである。それにしてもこのやくざ者は勇気があるなあ。

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明・郎瑛「七修類稿」巻四十九より。

このお話によりますと、マジメにやらないと、知事さまのお願いでも雨の神さまに無視されてしまうそうなんです。おいら出勤してもどうせマジメにやれないから、お偉方に叱られるばかりなんで、行かない方がマシなんです。ほんと(泣)。

 

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