平成28年6月27日(月)  目次へ  前回に戻る

男同士のぶつかり合いにはウソはないぜ。↓女がからむとちょっとウソが。

雨の降らない日は、じrじりと真夏になってきました。シゴトもあって暑いと心身ともにたまらん。明日も平日ですが、明日は雨が降る分体力的には今日ほどツラくないカモ・・・。

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昨日の続きです。

・・・女房に聶勝瓊からの手紙がバレた李之問はどうなってしまったでしょうか。

ザンギャクな状況を想像して楽しみにしておられた読者には申し訳ないのですが、女房から

「この詞はなんですか?」

と問い質された李之問は、日ごろからそうしていたように、

具以実告。

具さに実を以て告ぐ。

具体的に、本当のことを話した。

すると―――

女房は喚き出すかと思いきや、

喜其語句清健、遂出粧奩資、夫取帰。

その語句の清く健やかなるを喜び、遂に粧奩(しょうれん)の資を出だして、夫に取り帰せしむ。

「なんてきよらかで健やかな詩句でしょう」

と感嘆し、

「こんな素敵な詞が作れるひとを、どうしてそのままに放っておくのですか?」

と夫をたしなめて、とうとう化粧代や髪飾り代(「奩」は「くしげ」)を用意して、夫に彼女を落籍させに行かせた。

「は、はあ・・・」

と李之問は再び洛陽に向かい、勝瓊を落籍させて連れ帰ってまいりました。

瓊至即棄冠櫛、損其粧飾、委曲以事主母。

瓊至りて即ち冠櫛を棄て、その粧飾を損し、委曲以て主母に事(つか)う。

勝瓊は参りますと、すぐに頭飾りの類を棄て、化粧や装飾の品を減らし、こまやかに正妻にお仕えした。

そうして、三人は、

終身和悦無少間焉。

終身和悦して少間も無かりき。

死ぬまで仲良く、少しの争いもなく暮らしたのでございました。

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明・梅鼎祚「青泥蓮華記」より。「青泥蓮華記」は、「ハスは泥の中に育つのに、きよらかな花を咲かせる」ということに喩えて、花柳界の妓女たちの貞節・純情の物語を集めたものである。

「いい話だなあ」

「こういうのを佳話というんですなあ」

「こんな心の清いひとたちがおられたんですなあ。われらもこのように封建道徳に忠実にありたいものですなあ」

と思うひともいるかも知れませんが、ちょっと考えると、なんか怪しいぞ。

この話、「宋の時代」の話だと言いながら、なぜか都が洛陽にある(北宋の都は開封)。李之問は帰郷せねばならない、と言いながら、その郷里がどこだか一切触れられてない。そして、この李之問なるひとの経歴がまったくわからない。詞の名人だということだが、このひとの詞は一つも伝わっていない。だいたい、聶勝瓊の作った詞というのも、この一首しか知られていないのである。

ということで、これはどう考えても作り話なんです。

なお、摎君(テレサ・テン)女史がこの詞そのまま「有誰知我此時情」(誰かわかってくれる方がいるでしょうか、あたしのそのときの思いを)という題でレコーディングしておられ、台湾の方がネットに載せてくれているので、その妖艶な歌声を聴くこともできるんです。うそだと思うなら検索、検索〜。

 

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