平成28年6月16日(木)  目次へ  前回に戻る

雨雨ふれふれ、カッパの鼻水うれしいな。

本日は雨。鬱陶しい感じはするのですが、明日は晴れて暑くなるというので、明日は暑いので鬱陶しくなるんだろうなあ。人心は波乱の如きかな。

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隋の高祖(文帝。在位589〜604)の時、長安に近い上党の地で、じめじめと雨の降り続けたころ、

―――おおい―――おおい―――

と、

有人宅後、毎夜有人呼声。

人の宅後に、毎夜人の呼ぶ声の有ること有り。

ある人の家の裏から、毎晩毎晩、ニンゲンが叫ぶ声が聞こえたのであった。

そこで夜中に声のするあたりを探してみたが、

求之不得。

これを求むれども得ず。

探しても発見できなかった。

ところが翌晩、また雨が降ると、声が聞こえる。そこで今度は人を雇って探した。

すると、

去宅一里所、但見人参一本、枝葉峻茂。因掘去之、其根五尺余、其体人状。呼声遽絶。

宅を去ること一里の所にただ人参一本の枝葉峻茂たるを見る。因りてこれを掘り去るに、その根五尺余、その体は人の状をなせり。呼ぶ声にわかに絶す。

家から一チャイナ里(500m強)離れたところで、一本のニンジンが見つかった。枝も葉もたかだかと生い茂っているでかいやつである。

「これは怪しいぞ」

とこれを掘ってみると、その根は1.5mもあり、大きさも形もほぼニンゲンに似ていた。

これを掘り去ってから、叫び声は聞こえなくなったのである。

これは「草妖」(植物妖怪)だったのであろう。

当時のひとに、こういう問題をよく知ったひとがいなかったのが残念だが、実はこのとき

晋王陰有奪宗之計。高祖不悟。

晋王、陰に宗を奪うの計有り。高祖悟らざるなり。

晋王(後の煬帝)が皇太子を陥れようとしていろんな経略をめぐらせていたのだが、高祖はそのはかりごとに気づかなかった。

やがて高祖は無実の皇太子を廃して晋王を後継に定めることになり、かくして隋帝国は乱れ始めるのであるが、このニンジンの叫び声は、ニンゲンの形をしたニンゲンでない物が声をあげることによって、本来の後継者でない者が正統な後継者を追い落とそうと策略をめぐらせていることを予告していたのである。

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そうだったのか! 気づきませんでした。唐・陸勲集「集異志」巻四より。

イチローの安打数には気づいていましたが、チャイナの軍艦が我が国領土に入ってきたり東京都知事が辞職したり、気づかないうちに世の中が何だかギシギシと動き始めているような気がします。ニンジンがニンゲンの声をあげる予兆かもしれません。

 

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