平成28年6月3日(金)  目次へ  前回に戻る

平日のモノクロームの世界も・・・↓。

昨日疲れたせいであろうか、今日は一日中ふわふわして、頭が眠ったままだった。言葉の失態がいくつもあったようだ。反省してももう遅いかも・・・。

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もう遅いであろう反省は月曜日にすることにして、今日は久々でマトモな古典を読みますぞ。

戦国のころ、魏の太子甲、自ら将となって斉を攻めんとし、途中、宋の外黄城という町のそばを通り過ぎた。

外黄城には徐子という賢者があった。太子がこの賢者を呼び出すと、徐子、太子に向かって言う、

臣有百戦百勝之術。太子能聴臣乎。

臣に百戦百勝の術有り。太子よく臣に聴くか。

「やつがれは百戦して百勝する方法を存じております。太子はやつがれの話をお聞きになる気がありますかな?」

太子曰く、

「聞かせてもらいたいものだ」

「御意」

そこで徐子が言うには、

今太子自将攻斉、大勝併莒、則富不過有魏。而貴不益為王。若戦不勝、則万世無魏。此臣之百戦百勝之術也。

今、太子自ら将として斉を攻め、大いに勝ちて莒(きょ)を併すも、すなわち富は魏を有(たも)つに過ぎず。而して貴は王たるに益さず。もし戦いて勝たざれば、すなわち万世に魏無し。これ、臣の百戦百勝の術なり。

いま、太子さまは自ら将として斉を攻めに行かれますと、大いに勝てば斉から莒の地方を奪い取ってこれを併合することができましょう。しかし、莒の地方から得られる税収といっても、今の魏の国の税収に及ぶべきもございません。太子の地位も(このままでもいずれ約束されておられる)魏王の位より上に昇るわけではございますまい。ところが、もし戦いに敗れでもしますれば、(戦死するか敗軍の将の汚名を受けることとなり)永久に魏の王位に就くこともできなくなってしまいましょう。(斉との戦いにおもむくより、魏に戻られるのが地位を確実にすることでありましょう。)

これがやつがれのいう「百戦して百勝する」方法でございます。

「百戦百勝の術」とは、太子が自らの地位を守るための方法、ということだったのです。でもわたくしなどニンゲンが小さいので、「この方法では、魏という領地は拡大されないので、ようく考えると「百戦して百勝する」のではなくて、「百戦しても不敗」の術というべきでは・・・」というような気もしてきますが、古代的には許容される文飾というものであろう。

太子、これを聞いて曰く、

諾。

諾せり。

「おまえの言うとおりにしよう」

そして、

上車請還。

車に上りて還らんことを請う。

自分の馬車に乗り、「国へ帰ろうと思う」と言った。

のだが―――、

其御曰、将出而還、与北同。不如遂行。

その御(ぎょ)曰く、「将出でて還るは北(に)ぐると同じ。遂に行くにしかず」と。

その御者が答えて言った。

「いやいや、将が出陣して、戦いもせずに帰るのは、逃亡したのと同じでございます。太子の地位にも関わりましょう。(勝ちの可能性もあるのですから)まだしも戦いに行ってしまう方がよろしかろうと思いますぞ」

「そうか。なるほど」

とうなずきまして、太子は

遂行。

遂に行けり。

結局、戦いに行ってしまった。

そうして、

与斉人戦而死。卒不得魏。

斉人と戦いて死す。ついに魏を得ざるなり。

斉軍と戦って戦死してしまい、とうとう魏の王位を継ぐことなどありえなくなってしまった。

のであった。

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「戦国策」巻七・魏策上より。

わたくしの毎日やっていることはこの太子甲の出征と同じようなことばかりなんです。僥倖によってうまくいったところで今より何もいいことはないのに、失敗すれば不幸になるばかり。ああ、恐ろしいなあ、不安だなあ、ダメだなあ。・・・みなさんの毎日はどうなのかな?

週末にはうるわしのカラーガール。

 

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