平成28年6月2日(木)  目次へ  前回に戻る

身も心もどんどん弱ってきました。ヘビの生命力にあやかりたいぐらいだが。

昨日は今朝のツラい仕事のためにカプセルホテルに外泊。仕事はツラいがカプセルは好きです。どうせこの世は仮の宿、おいらの人生は一所不住の旅人のようなものなので、カプセルホテルにフィットするのでしょう。

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さて、四川の奥、剣利門の峠のあたりに不思議なヘビが棲息している。

長三尺。

長さ三尺。

体長1メートルぐらい。

というので、これだけではそれほど異常とは思えないのですが、太っているのです。そして、

其大如甕、小者亦如柱焉。兎頭蛇身、項下白色。

その大いなるものは甕の如く、小者また柱の如し。兎頭にして蛇身、項下は白色なり。

大きいのは甕のような太さがあり、小さいものでも柱のような太さがあった。しかも頭はウサギで体がヘビなのである。首の下のところが白くなっているのであった。

ウサギの頭をしている? 

なんという不思議なヘビでしょうか。

しかも、このヘビは、人間をコロすのが好き。

欲害人也、出自山上輪転而下、以噬行旅。

人を害わんとするや、山上より出でて、輪転して下り、以て行旅を噬む。

人間をコロそうとするときは、山の上から、ごろんごろんと転がり落ちてきて、麓を行くたびびとに噛み付くのである。

その際は、

必穴其腋而飲血焉。

必ずその腋に穴して血を飲む。

必ず被害者のわきの下に穴をあけて、そこから血を飲むのであった。

このヘビの名を「坂鼻」(はんび)という。

毎於穴中蔵、微出其鼻。

つねに穴中に蔵し、その鼻を微出す。

いつも穴の中に隠れていて、その鼻だけを少し地面から出しているからである。

その鼻で

鳴声若牛咆。聞数里地為之震動焉。

鳴く声は牛の咆ゆるがごとし。聞こゆれば数里の地これがために震動せり。

鳴き声を出すのだが、それはウシの鳴き声のようである。これが聞こえると、数キロぐらいの間の地が震動するのであった。

ヘビが鳴く? これは本当にヘビなのだろうか?

いずれにせよ、この地方の人民には、焼き畑農業を営んでいる者が多いのだが、

民有冬焼田者、或焼殺之。但多脂耳。

民の冬に焼田する者、あるいはこれを焼殺するあり。ただ多脂のみ。

冬場に焼き畑をすると、ときにこのヘビを焼き殺すことがある。その焼けた姿を見るに、体はほとんど脂肪ばかりなのである。

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五代・杜光庭「録異記」巻五より。

旅人は「坂鼻」にやられやすいので、気をつけなければ。

 

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