身も心もどんどん弱ってきました。ヘビの生命力にあやかりたいぐらいだが。
昨日は今朝のツラい仕事のためにカプセルホテルに外泊。仕事はツラいがカプセルは好きです。どうせこの世は仮の宿、おいらの人生は一所不住の旅人のようなものなので、カプセルホテルにフィットするのでしょう。
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さて、四川の奥、剣利門の峠のあたりに不思議なヘビが棲息している。
長三尺。
長さ三尺。
体長1メートルぐらい。
というので、これだけではそれほど異常とは思えないのですが、太っているのです。そして、
其大如甕、小者亦如柱焉。兎頭蛇身、項下白色。
その大いなるものは甕の如く、小者また柱の如し。兎頭にして蛇身、項下は白色なり。
大きいのは甕のような太さがあり、小さいものでも柱のような太さがあった。しかも頭はウサギで体がヘビなのである。首の下のところが白くなっているのであった。
ウサギの頭をしている?
なんという不思議なヘビでしょうか。
しかも、このヘビは、人間をコロすのが好き。
欲害人也、出自山上輪転而下、以噬行旅。
人を害わんとするや、山上より出でて、輪転して下り、以て行旅を噬む。
人間をコロそうとするときは、山の上から、ごろんごろんと転がり落ちてきて、麓を行くたびびとに噛み付くのである。
その際は、
必穴其腋而飲血焉。
必ずその腋に穴して血を飲む。
必ず被害者のわきの下に穴をあけて、そこから血を飲むのであった。
このヘビの名を「坂鼻」(はんび)という。
毎於穴中蔵、微出其鼻。
つねに穴中に蔵し、その鼻を微出す。
いつも穴の中に隠れていて、その鼻だけを少し地面から出しているからである。
その鼻で
鳴声若牛咆。聞数里地為之震動焉。
鳴く声は牛の咆ゆるがごとし。聞こゆれば数里の地これがために震動せり。
鳴き声を出すのだが、それはウシの鳴き声のようである。これが聞こえると、数キロぐらいの間の地が震動するのであった。
ヘビが鳴く? これは本当にヘビなのだろうか?
いずれにせよ、この地方の人民には、焼き畑農業を営んでいる者が多いのだが、
民有冬焼田者、或焼殺之。但多脂耳。
民の冬に焼田する者、あるいはこれを焼殺するあり。ただ多脂のみ。
冬場に焼き畑をすると、ときにこのヘビを焼き殺すことがある。その焼けた姿を見るに、体はほとんど脂肪ばかりなのである。
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五代・杜光庭「録異記」巻五より。
旅人は「坂鼻」にやられやすいので、気をつけなければ。