八卦は当たるも当たらぬもあるが、人生にイヤなことが起こるのは確実。
イヤなことが起こる、とわかっていても避けることなんかできない。
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むかしむかし。
有人問卜。
人、卜に問うあり。
あるひとが、占い師に占ってもらった。
すると
卜者曰、君明日当有水厄、不宜過江。
卜者曰く、君、明日水厄あるべし、江を過ぐることよろしからず。
占い師が云うに「おまえさん、明日は「水の災難」に見舞われそうじゃな。よいか、川の向こうに行ってはなりませんぞ」と。
翌日、果たして、ある知り合いから宴会の誘いが来たが、
所居隔一小渓。
居るところ一小渓を隔つ。
その知り合いの家は、小さな谷川を渡った向こうである。
占い師の言葉を思い出して、
取別路而往。
別路を取りて往く。
別の道を行くことにした。
大回りして、谷川の水源より上を迂回する山道をたどり、半日がかりでようやくその家にたどりついた。
たいへん披露困憊しながら宴会に臨んだのだが、
主人酒薄不可飲。
主人の酒薄くして飲むべからず。
出されたその家の酒は薄く、飲めないぐらいである。
しかし、
主人勤至再三。
主人勤しみて再三に至る。
主催者の方は「どうぞどうぞ」と何度も勧めるのである。
「は、はあ。・・・うーん」
と無理に呑み込んでいるうちに、だんだんキモチ悪くなってきて、吐いてしまった。
お供の童子に介抱されながら、
何不逃去。
何ぞ逃れ去らざる。
「どうちてお断りしなかったんでちゅか?」
と問われて、その人曰く、
昨日占卦、卜得今日有水厄。
昨日の占卦、卜して今日水厄有るを得たり。
「昨日の占いで、今日は「水の災難」に遭う、と出ていた。
迂回したとはいえ結局川のこちら側に来てしまって、この水臭い酒に当たってしまったのである。
数不可逃如此也。
数は逃るべからざること、かくのごときなり。
このとおり、定まった運命からは逃れられなかったのだ」
と。
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これは宋代のひとが著したと思われる「風月笑海」という本に載っている「笑い話」です。だから笑って読んでやってください。
わははは・・・・
しかしやがて悲しくなってまいりました。明日もキツいしごとの日。イヤなことが起こるのはわかっているのに会社に行かねばならないというのだから・・・。