「クダモノよりは穀物が欲しいでぶう」
いよいよ連休も終わりに近づいた。能力があれば月曜日からもシゴトなんかしなくても生きていけるのになあ。
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三国の呉の国に、市場で易占を立てて世過ぎにしている徐光なる者があった。
あるとき、市場の瓜屋の隣で易占いをしていると、
従人乞瓜、其主勿与。
従人瓜を乞うも、その主与うるなし。
おつきの弟子が、
「先生、おいらあのウリが欲しいでちゅ〜」
と言い出したのだが、瓜屋のおやじは
「易者風情が買えるようなものではないぞ」
と取り合わない。
すると、徐光は
「タネだけでも下さらんか」
と言って、タネをもらった。
徐光はもらったタネを
杖地種之、俄而瓜生蔓延。
地に杖してこれを種(う)うるに、俄かにして瓜生じて蔓延す。
地面に杖で穴を掘って、そこにタネを放り込んだところ―――
なんと不思議なことでありましょうか。すぐに瓜の芽が出て、ぐんぐん伸びて、あっという間に蔓を延ばして広がった。
生花成実、乃取食之。因賜観者。
花を生じ実を成し、すなわちこれを取りて食らう。因りて観者にも賜えり。
そしてみるみるうちに花が咲き、ついに実がなりだした。徐光はこれを一つもぎ取ると食べはじめた。弟子にも渡し、さらには見物人たちにも次々と分け与えた。
「そんなことをされたら商売あがったりだぞ」
と瓜屋のおやじは文句をつけたが、徐光言うに、
「いや、そうでなくても、もうおまえさんの商売はあがったりじゃよ」
「はあ?」
鬻者反視所出売、皆亡耗矣。
鬻者反りて出売するところを視るに、みな亡耗せり。
瓜屋が「はっ」と思って振り返ると、売り物にしていたウリは、いつのまにか一つ残らず消滅してしまっていた。
売り物がなくなっては商売になりませんね。
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「捜神記」より「徐光種瓜」。
こんな能力があったらシゴトしなくても食っていけるのだが。