闘志あふれるブタ力士。キミも絶望せずに勇気を出そう。ぶー。
今日は一日寒く、風雨甚だし。我が心の蕭条として絶望的なるに似る。
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四世紀の後半のことです。
前秦の太子であった苻宏が長安を棄てて晋に亡命してきた後のこと、太傅の謝安は
毎加接引。
毎に接引を加う。
ことあるごとに対面して会談した。
もともと尊貴の生まれで頭脳明晰、しかも今や亡命者でありながら晋の屋台骨というべき宰相の謝安に重視されて、
宏自以有才、多好上人。坐上無折之者。
宏自ら以て才有りとし、多く人に上るを好む。坐上これを折る者無し。
苻宏は自ら才能があるのだろうと思い、他人に凌いで上位に立つことを好んだ。そして、たいてい席をともにする者たちは、彼の鼻っ柱を折ることができなかった。
ある日、たまたま王徽之(字・子猷)が来たので、謝安は
使共語。
ともに語らしむ。
二人に会話させようとした。
名高い風流人の王徽之と才覚比べができる、と苻宏は喜んだが、苻宏が何か話しかけようとしても、徽之の方は一言も答えないのであった。
そして、
直熟視良久。
ただに熟視することやや久し。
しばらくの間、ひたすら苻宏をじろじろ見つめているばかりであった。
やがて、
回語太傅云、亦復竟不異人。
太傅に回語して云う、「またまたついに人に異ならず」と。
謝安の方をかえりみて、言った。
「どうもやっぱり、普通のひとのようですなあ」
それを聞いて、苻宏は
大慚而退。
大いに慚じて退けり。
なんだかすごく自分が恥ずかしくなって、その場を退出した。
のだそうです。
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「世説新語」軽詆第二十六より。
わたしももう会社に行くのが恥ずかしい。職業人としての自分がイヤになっています(職業人以外の自分はそんなにイヤではないのですが)。ただちに退出したいところである。