持って生まれた能力の中でしか生きられないのだ。カエルはウサギには勝てないのだ。
もう疲れた。明日からはまた肝冷斎「もどき」に行ってもらうか。
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あるひとからこのような話を聞いた。
―――ほんとうに心の中から反省したら、
「私は是まで、大きに心得違い致し居りました。この後、急度(きっと)相改め慎みませう。幼少の時より、今日までの不忠不孝、どうぞ御慈悲に御了簡下さりませ」
と、真実に懺悔すると、主人も親も安心する。
腹の中のごもく(いろんなもの)を瀟洒(さっぱり)と掃除をすると、内外清浄六根清浄、払いたまへ清めたまへじゃ。
打ち明けて見れば大きな駒が出た後は軽うてもとの瓢箪。
(腹の中のことを打ち明けてみると、中にたまっていた駒が出てしまい、瓢箪から駒が出て、あとは軽いもとの瓢箪に戻る。心も軽い)
腹の中のモノを吐き出すと、赤ん坊のような心に戻ることができる。
もとの赤子になりて今日を暮らすと、病が抜けて心安い。その上、憂い災難もなく息災で、大体(たいてい)有り難いものじゃない(か)。
米蒔いて米が生(は)ゆれば善に善 悪には悪が報ゆとぞしれ。
(コメを蒔くとコメが生えてくる。このように善には善、悪には悪が報いるのだと知るがいい)
麦蒔けば麦が出来、米蒔けば米が出来る。少しも天地に間違いはない。
以下略。
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布施松翁述「松翁道話」二編巻下より。
肝冷斎を追い込んでいるみなさんも、こういうのを読んで少しは反省してくれるといいのだが。