海産物手裏剣にやられた弱忍者。寒さにも弱い。
今日も厳しく寒い。明日も明後日も寒いという。
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老朽夢易覚。 老朽、夢も覚め易し。
覚来在空堂。 覚め来たって空堂に在り。
堂上一盞燈、 堂上一盞の灯、
挑尽冬夜長。 挑(かか)げ尽くして冬夜長し。
老いさらばえて夢を見ていても目覚めやすくなった。
目覚めてしまったので、誰もいない広間に座った。
広間の真ん中で、一皿の油に火をつけて
ともしびを掲げたが、そのともしびが消えるまで、冬の長い夜は続く。
わしの命のともしびも、間もなく消えるのじゃが、そうすればこの夜も明けるのカモ。
一思少年時、 一たび思う、少年の時、
読書在空堂。 書を読みて空堂に在り。
燈火数添油、 燈火しばしば油を添え、
未厭冬夜長。 いまだ厭わず、冬夜の長きを。
ふと思い出した。まだ若いころ。
誰もいない広間で書物を読んでいた。
ともしびの皿には何度も油を注ぎなおして、
少しもいやではなかったのだ、冬の長い夜も。
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「良寛詩集」より「冬夜長二首」。寒い。もう冬厭きた。