平成27年12月12日(土)  目次へ  前回に戻る

ニンゲンらしい生活とはなんであろうか。

週末なのでニンゲンに戻って、MT家に行ってメシ食わしてもらってきました。相変わらずメシ美味かった。コドモらも大きくなっていた。

・・・・・・・・・・・・・・・

ニンゲンに戻っている間に、重大な情報を伝えておきます。

漢の時代、宣城郡(安徽・宛陵)の太守であった封邵というひとは、

一旦忽化為虎、食郡人。

一旦たちまち化して虎と為り、郡人を食らう。

ある日、突然変化してトラになってしまい、郡の住民を食べた。

おお。比喩ではなく本当に、人民を食うトラと化したのだ。

民呼之、曰封使君。因去不復来。

民これを呼びて曰く「封使君」と。因りて去りてまた来たらず。

住民たちは、このトラに向って「封知事どの!」と呼びかけた。すると、このトラは逃げ出してしまい、二度と戻って来なかった。

そこでひとびとは言いはやした、

無作封使君、生不治民死食民。

封使君と作(な)る無かれ、生きては民を治めず、死しては民を食らうなり。

「封知事さまにはなりたくないね、生きているうちはダメ政治、死んだらほんとに民を食う」

と。

これはこれで勉強になる事件ですが、さて、まことに重要なのは次の情報である―――

夫人無徳而寿則為虎。

それ、人、徳無くして寿なれば虎と為る。

実は、ニンゲンが、徳を修めずに長生きすると、トラになるんです。

そして、

虎不食人。人化虎則食人。蓋恥其類而悪之。

虎は人を食らわず。人の化したる虎はすなわち人を食らう。けだしその類たりしを恥じてこれを悪むなり。

実は、トラは本来、ニンゲンを食べることはないのである。

ニンゲンを食べるのは、ニンゲンが変化したトラだけなのだ。もともと同類だったのに、変化してしまったのが恥ずかしくて、ニンゲンのままのやつを逆恨みして食うのである。

なんだそうです。

みなさんは大丈夫かな?

・・・・・・・・・・・・・

梁・任オ「述異記」巻上より。

「本当のことなのか?」

「まさかそんなことはあるまい?」

「うそでしょ?」

などとご質問があったら、明日の晩までに訊いてください。―――わたしは日曜日の夜にはまた、ニンゲンで無くなってしまうのだから。

 

次へ