隠者には俗世のことは関係無いのじゃが・・・。
今朝起きて何の気もなくネット見たら、パリで大事件発生してました。
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唐の元和年間(806〜820)、長安城内の崇賢里に陳朴というひとが住んでいたのだそうである。
当時の都市は、城の中にさらに入れ子のように壁で囲まれた町がある構造になっていて、この崇賢里の町も壁で囲まれ、壁の北側に門があり、その門のそとに大きな槐の木があった。
陳朴がたそがれどきに何となくその木を見ていると、
見若婦人及狐犬老烏之類、飛入樹中。
婦人、及び狐・犬・老烏の類のごとき、飛びて樹中に入るを見る。
女、キツネ、イヌ、年老いたカラス・・・などが、その木の中に飛び込んでいったように見えた。
「な、なんなのだ?」
陳は驚いて、ひとびとを語らってその木を伐ることにした。
樹凡三槎。
樹はおよそ三槎あり。
この木は根本のところから、大枝三つに分かれていた。
一槎空中。
一槎は空中なり。
一本目の枝を伐ったところ、中は空洞になっていた。
一槎有独頭栗一百二十。
一槎には独頭の栗一百二十有り。
二本目の枝を伐ったところ、中からイガの中に一つづつ栗の粒が入っている種類の栗が120個出てきた。
「独頭」は山西の首陽山の別名であるが、ここでは「独頭蒜」などと同様に、「通常いくつかがいっしょに連なっている果実等が一つで成っているもの」をいうのであろう。
最後の枝を伐った。
「あ」
「これはいったい・・・」
ひとびとは驚いた。
一槎中襁一死児長尺余。
一槎中に一死児の長尺余なる襁す。
その枝の中には、身長30センチぐらいの死んだ赤んぼうが、帯紐でくくりつけられているのが入っていた。
この赤ん坊は木の中に飛び込んだ女と関係があるのであろうか。120個の栗はキツネやイヌや老いたカラスに変化していたのであろうか。さて、最初の枝の空洞に入っていたものは何だったのだろうか。それはどこに行ってしまったのであろうか。
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憎しみが世界に拡散してしまっているのであろう。