平成27年8月6日(木)  目次へ  前回に戻る

「体力」「知性」「デリカシー」「コミュ力」・・・いろんなものが闕けているといわれるが・・・。

この数日ほんとに暑いです。暑いので弱って動きが遅い。動かない分体重増える。

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昼も夜もセミの声がすごいですが、セミではなく、高原でカッコウの声を聞いたとします。

そこで、

夏五月、郭公・・・

と書きかけたら、

「あー、それは間違い。「月」は要らないよ」

と叱られました。

「はあ?」

夏五郭公、または郭公夏五、でいいでしょ。あ、でもよく考えたら「月」が要るわけか。ふむ、なるほどな・・・」

とその人はいうのである。

「どういうことですか? ワケわからないんですけど」

「ええー! ワケわからないって? きみ、大丈夫か?

・・・「春秋」桓公十四年(前698)の記事を閲するに、

春正月、公会鄭伯于曹。無氷。

春 正月、公、鄭伯に曹に会す。氷無し。

春 正月に、魯公が鄭伯と、曹の地で会合した。 (この春は)氷が張らなかった(暖冬だったのである)。

とありまして、その次に

夏 五 鄭伯使其弟語来盟。

夏 五 鄭伯、その弟・語をして来たりて盟せしむ。

夏 五(   ) 鄭伯がその弟の語を遣わして、同盟の約束をしに来させた。

と書かれています。

明らかに「夏五」の後ろには少なくとも「月」一字かあるいは「月 ・・・・・・・(何かの事件) 改行 六月」という欠落(かっこよくいうと「闕文」)がある。

続いて荘公二十四年(前670)の記事を閲しますと、

冬 戎侵曹。曹羈出奔陳。赤帰于曹。郭公

冬 戎、曹を侵す。曹・羈(き)陳に出奔す。赤、曹に帰る。郭公

とある。

冬 戎が曹を侵略した。曹(の公族)羈は陳に逃げ出した。これによって、赤(僖公)が曹の國に復帰することができた。郭公(   )。

と書いてあって、明らかに「郭公」の下に欠落(「闕文」)があります。

ここから、「夏五郭公」あるいは「郭公夏五」というのは

「ワケのわかんない文章だなあ。どこかに夏五郭公でもあるんじゃないの?」

と使ったりして、「文章の欠落」という意味の故事成語になっているのでございます。・・・・・

・・・・・ということぐらい「五経」の一である「春秋」の有名な文章だから、コドモ試験の受験者でも知っている有名なことじゃないか。どうして知らないのだ?

きみ、もしかして「四書五経」読んでないの? 「科挙」の勉強してないの?」

と言われまして、

「あ、いやいや、ド忘れしていただけでした、そうだそうです、「月」は要らなかったんです」

「ああ、そうか、よかった。「科挙」の勉強もしてないのかと思って驚いたよ」

「いやいや、そんなことはありません」

「うん、それならいいんだけど・・・」

ということでうまく誤魔化せました。

みなさんは知っていましたか?

 

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