暑中お見舞い申し上げニャース。
↑ネコは都会の屋根の上にいるようですが、おいらはもう会社もアレして山中で暮らしております。
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日が暮れて、だんだん涼しくなってまいりました。
満溪蛍火乱昏黄、 満溪の蛍火は昏黄に乱れ、
透竹穿藤各競光。 竹を透かし藤を穿ちて、おのおの光を競う。
谷川いっぱいのホタルの光が、たそがれの暗闇の中で入り乱れはじめた。
竹林の間を縫って、あるいは藤の花の向こうから、みんなその光を競い合っているなあ。
じっとしていられないのでちょっと出かけてきます。
吟歩不愁還入夜、 吟歩して愁えず、また夜に入ることを。
借将余照渡山梁。 余照を借り将(もち)いて山梁を照らさん。
詩をくちずさみながら歩き回る。とっぷりと夜のとばりが落ちて暗くなっていくのも心配ない。
おまえさんたちの光の余りをお借りして、山の架け橋の足もとを照らすことができるからのう。
しばらくそちらには戻りますまい。
そちらで見かけるやつは木偶か土偶か、なんにしろ亜人間の、おいらですよ。
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詩は、菅茶山「蛍」(七首の一)。
茶山が居住した備前・神辺の近くにある蛍の名所をうたったものなんだそうですが、文化十三年(1816)の作というので茶山は当時数えで六十九歳だそうです。