ハタラクのがイヤな点では読書人と共通している。
当方、問題がいろいろと。あちこちで御不興も買う。以下のように、「怒られる」と実はいいことがある、という場合もありますが・・・。
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新康県の西、漳浦のあたりに清潭という淵がありましてな。
極深、常有白龍蔵此中。
極めて深く、常に白龍のこの中に蔵するあり。
この淵はどれほどとも知れぬほど深く、その底には白い龍が棲んでいるのであるという。
日照りが続きますと、
令人取猪羊糞擲潭中。
人をして猪羊の糞を取りて潭中に擲(なげう)たしむ。
誰かにブタ・ヒツジのふんを取って来させて、この淵の中に投げ込ませる。
すると、淵に棲む龍が、穢れたモノを投げ込まれたので怒ります。
龍が怒ると黒雲湧き、風が起こり雷鳴轟く。そして
即有洪雨大水。至今有験。
即ち洪雨大水有り。今に至るも験有り。
たちまち大雨が降り洪水になる。このこと、単なる言い伝えではなく、ゲンダイにおいても効果があるのである。
そうです。
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五代・杜光庭「録異記」巻七より。
ただしこの「ゲンダイ」は10世紀、宋の初めごろのことでございますので、今現在は知りません。
それにしても、雨乞いのために龍を怒らせる時でさえ、「令人取糞」(人をして糞を取らしむ)、誰かにふんを取ってこさせて、と自分では手を汚そうとしないチャイナ読書人階級の肉体労働蔑視は徹底しておりますね。