心当たりはカレーライスと味噌ラーメンとおにぎりぐらいだが。
なんにも悪いことをしていないつもりなのに、体重増。何か効果的な対処法は無いものか。
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則天武后(又は武則天。在位684〜705)の時代、瀛州から鼎師という男が長安にやってきた。(←「鼎師」が名前とは思えないので、「なべ奉行」というような意味の綽名であろう)
武后のお気に入りの娘である太平公主さまが
「これはおもしろい男でございますわ」
と推薦なされたので、武后はその能力をお試しになった。
「得意なことをしてみるがよい」
「ははー、ありがたきしあわせ」
鼎師は
以銀瓮盛酒三斗、一挙而飲尽。
銀瓮を以て酒三斗を盛り、一挙にして飲み尽くせり。
銀のカップに酒18リットル(唐代の一斗=約6リットルで換算)をなみなみと注ぐと、ぐぐぐい、と持ち上げて、いっぺんに飲み干してしまった。
さらに曰く、
臣能食醤。
臣よく醤を食らう。
「わたくしはさらに醤油を呑むこともできまする」
「やってみよ」
「ははー、ありがたきしあわせ」
即令以銀缸盛醤一斗。
すなわち、銀缸を以て醤一斗を盛らしむ。
ただちに銀のかめに醤油6リットルを入れて持ってこさせた。
鼎師以匙抄之、須臾即竭。
鼎師、匙を以てこれを抄し、須臾にして即ち竭くす。
鼎師は大さじで掬って飲みはじめ、あっという間に空っぽにしてしまった。
「みごとじゃ」
「ははー、ありがたきしあわせ」
武后は彼に官職を与えようとしたが、鼎師は
情願出家。
情として出家を願う。
「どうか出家させてくださいませ」
と申し出たので、武后はたいへんお喜びになり、
即与剃頭。
すなわち、剃頭を与う。
すぐに頭を剃らせてやった。
「ありがきしあわせにござりまする」
鼎師は大いに感謝して退出したが、しばらくすると
如来螺髻、菩薩宝首。若能修道、何必剃除。
如来は螺髻なり、菩薩は宝首なり。もしよく道を修むれば何ぞ必ずしも剃除せん。
如来(悟った人=ブッダ)の頭は天然パーマのもとどりがあるではないか。菩薩(悟りを求める人=ボーディサッタ)の頭部は宝玉の髪飾りでかざられているではないか。もし道を得ているならば、坊主頭で無くてもええじゃないか。
と言い出しまして、髪を長くして常人の姿で暮らしていた。
後にその奇行を咎められて杖一百の罰を与えられたが、百杖くらっても
不廃行動、亦無瘡疾。時人莫測。
行動を廃せず、また瘡疾無し。時人測るなし。
体のどこかが動かなくなるということもなく、ケガも体調不良も無かった。当時のひとびとは「まったくあの方はわからんわい」と頭を抱えたものである。
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唐・張鷟「朝野僉載」巻三より。
醤油ダイエットでもするか。効くかも知れません。効いたら報告します。(なお、「醤」はゲンダイ日本の「醤油」とは違い、シオカラの汁みたいなものだそうですが、ここではめんどくさいので「醤油」と訳しました。)