にょろにょろにょろ。
風邪をひいたのだと思われるのですが、体調悪く咳が出てごろごろしていたが、今日も会社からは何の連絡も無かった。
体の節々が痛むので、この病気かも知れない。↓
・・・・・・・・・・・・・・
清の初めころのこと、小役人の畢聯元が病に罹った。
左股痛不可忍、呻吟累月。
左股の痛なること忍ぶべからず、呻吟累月なり。
左足の膝から上のあたりが痛くてたまらず、何か月もうなされていた。
ある日、門先に旅の乞食僧がやってきた。家人、小銭を与えると、僧は
問其所苦。
その苦しむところを問う。
「家中から呻き声が聞こえまするが、どなたが何に苦しんでおられるのかな?」
と問うた。
家人、あるじが数か月病に苦しんでいることを告げると、僧は
「ぜひ拙僧に診させていただきたい」
と申し出た。
早速畢聯元に取り次ぐと、畢は
「どなたでもいい、癒してくれ」
というので件の乞食僧を部屋に通した。
僧、一目見て曰く、
此肉鰻也。
これ、肉鰻なり。
「やや! これはニクウナギという病症じゃ」
と見抜いた。
早治可活、今病深矣。
早く治すれば活すべきも、今病い深し。
「はやいうちに治療していれば治ったが、今となってはかなり進行しているようじゃな・・・」
ともあれ、小刀を以て
刺其膝。
その膝を刺す。
畢の左ひざのあたりを切開した。
すると―――
にょろ。にょろ。にょろ。
出小蛇十余条、如指大。
小蛇の、指の如き大いさなる、十余条を出だす。
指ぐらいの大きさの小さいヘビが、十何匹かにょろにょろと出てきた。
畢は少し楽になったように感じ、僧に礼物を与えようとしたが、僧は断って、
「代わりにこれはいただいていきますぞ」
持之去。
これを持して去る。
にょろにょろと蠢いている小さいヘビを袋に入れて立ち去って行った。
畢は傷口を消毒して治癒するのを待ったが、
逾数日、蛇復涌出、竟死焉。
逾(こ)ゆること数日にして蛇また涌出し、ついに死せり。
数日後、傷口が破れ、そこからまたヘビが、にょろ。にょろ。にょろ。と湧き出してきて、ついに死んでしまった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
おそろしいことでございます。蒼水先生・董含「三岡識略」巻一より。まだ清の統一過程の順治七年、南明の永暦四年(1650)のことだそうでございます。