「あなたはドウブツと話せますか?」「ブー」
コドモなのに明日もしごと。コドモだからドウブツとお友だちになって仲良く遊んで過ごしたいのになあ・・・。
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晋の時代、兗州の刺史になった宋処宗というひとは、鳥が好きであった。
あるとき、
買得一長鳴雞、愛養甚至。
一長鳴雞を買い得、愛養甚だ至る。
一羽の鳴き声の長いニワトリを買い、これをネコかわいがりしたのである。
するとやがて、
「コケコケ、おい、おまえ」
と、
雞遂作人語。
雞ついに人語を作(な)す。
ニワトリはとうとうニンゲンの言葉でしゃべるようになった。
「うひゃひゃ、話せるようになるとはうれしいなあ」
「コケコケ、まあおれの話を聞け」
と話し合ってみると、
与宗談玄。
宗と玄を談ず。
なんとこのニワトリは老荘思想について詳しく、処宗とそのことについて語り合ったのである。
そして、
極有言致、終日不輟。
極めて言致有りて、終日輟めず。
実に味わい深いことを言い、一日中語り合っても話は尽きないのだった。
処宗が朝廷において老荘思想の深い理解者であると目されるようになったのは、このニワトリとの会話のおかげである。
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南朝宋・劉義慶「幽明録」より。すぐれたニワトリもいたものである。おいらもこんなニワトリとおともだちになりたかったなー。