平成26年12月29日(月)  目次へ  前回に戻る

忍者は年中無休?

月曜日が休みだとシアワセですね。しかし東日本や北日本では年末年始、大変な雪になりそうだということだ。

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今日は雪のいい所どりをします。

雪は

天工剪水、宇宙飄花。

天工の水を剪り、宇宙の花と飄えす。

天のたくみが水を切りぬき、宇宙に花のようにひるがえすもの。

でございますが、いいところ(「美」)が四つあるんだそうですよ。

落地無声、静也。  地に落つるに声無きは、静なり。

沾衣不染、潔也。  衣を沾(うるお)すも染めざるは、潔なり。

高下平舗、勻也。  高下、平舗するは、勻なり。

洞窗輝映、明也。  洞窗に輝映するは、明なり。

 地に落ちるときに音を立てない。静穏である。

 服を濡らしても汚しはしない。清潔である。

 降り積もって高い低いを平らに均す。公平である。

部屋の窗に輝く白い光を映す。明浄である。

また、雪に「宜」(ふさわしい)なるものが十八ある。以下のごとし。

長松修竹 (丈高い松と手入れされた竹の林)

老梅片月 (樹齢を重ねた梅に月がかかっている)

怪石崚嶒 (変な形の石がごろごろ)

深林窈窕 (奥深い森の中)

寒江遠浦 (寒々とした川、船着き場が遠くにある)

断岸小橋 (切り立った岸に小さな橋がかかっている)

古刹層巒 (古いお寺が深い山の中)

疎籬幽逕 (まばらなまがき、消えていきそうな細い小道) 

老叟披蓑垂釣 (じじいが蓑を着て釣り糸を垂れている)

騒人跨蹇尋詩 (詩人が感動を求めてけわしい道を越えていく)

小酌清談 (ちょっとお酒を飲んで超俗的な会話をする)

高楼長嘯 (たかどのの上でながながと口笛を吹く)

船頭茶竈飄烟 (船上の茶炉から烟がふわふわと)

座上黛眉把盞 (宴席の美人がさかずきを手にしている)

老僧対座 (老いた坊さんと向かい合って座っている)

韻士閑評 (風流のわかる御仁とゆっくり、よろづの品定め)

披鶴氅縦歩園亭 (鶴の羽毛で作った外套を着て、自由に庭のあずまやの閧散歩する)

御貂裘登臨山水 (貂の毛皮で作った上着を着て、すばらしい山と川の景色を見下ろす)

「鶴氅」(かくしょう=鶴の羽毛で造られた白い上着)は道士が着るべきもの、「貂裘」(てんきゅう=テンの毛皮で造られた上着)は身分の高いひとが着るべきもの、というイメージです。

さてさて、みなさんはいくつぐらい味わったこと、ありますかな?

如此景況何必峨嵋千尺。

かくの如きの景況、何ぞ峨嵋の千尺を必せん。

これらの状況に恵まれるなら、どうして四川とチベットの閧ノある峨嵋山の標高3000メートルの上で雪を観たい、と思う必要がありましょうか。

そんな寒いところに行く必要はないであろう。

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作者不詳「閑賞」より「雪」明・衛冰「枕中秘」所収)。

チャイナ読書人のみなさんは、生活とのかかわりで雪を論ずることは、なかなかしないんですなあ。

 

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